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星の墓場

星矢再熱。腐です。逃げて! もはや脳内病気の残念賞。お友達募集中(∀`*ゞ)エヘヘ

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カッコウのたまご

「郭公だ」
「どこで鳴いているのかな」
「郭公が鳴いたから、夏が近い証拠だね」
「郭公の声は楽しくていいな」
「エーッ!? 何言ってんの、先生! カッコウが鳴くのは悪い知らせなんだよっ」
「ン? そうなのか?」
「だってマーマが言ってたもん」
「フィンランドでもそうだったな。郭公が寿命を知らせるって」
「ほう。アイザックのところでもか? 私の故郷ではそんなマイナス要素満載な鳥ではなかったぞ? ……ふむ。所変わればってヤツだな」

 カッコウ。
 カッコウ。
 カッコウ。

「あっ、三回で止まっちゃった。どーする、氷河!?」
「わわっ、この中の誰かが3年後に死んじゃう! どーしよ、アイザック!?」
「待てよ? 最初に一回鳴いてたから、合わせて4年だよ、4年」
「変わんないよ、どうしようっ」
「おいおい、お前たちまさか本気にしているんじゃないだろうな? 郭公にも自由に鳴かせてやらんといちいち数えていられたら迷惑だって言っているぞ?」

 10歳の可愛い盛りのあの子たちがいて、16歳のまだ未熟な私がいて……
 それは、4年前の平和だった日々の他愛ない会話。
 あの事故でもない限り、思い出しもしないないような。
 ……4年。
 郭公が悪いわけではないけれど、その不吉な予言は現実となって私と上の子に降り注ぐ。




                                                                                        カッコウのたまご



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「ソレ」は闇に潜む獣:4

(そうだ。此処を……海界を守らなくては)

 迷いや恐れを払うように、頭を振った。
もしかしたら、やっぱり自分は“クラーケン”などではないのかもしれない。
 やっぱり人違いで、此処も自分がいていい場所ではないかもしれない。
 だとしても、カノンの野望を知っているのが自分しかいない以上、取るべき行動は決まっている。

(それに、カーサがひょっとしたら気づき始めているのかも)

 できれば穏便に済ませたい。
 何事もなかったように。
 今ならまだ間に合うのではないか。
 真相を知ったカーサとカノンが激突してしまう前に。
 あるいは海将軍全員にカノンが撲殺されてしまう前に。

(……もう一度……カノンと話してみよう)

 逃げ回っていても事態は解決しない。

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「ソレ」は闇に潜む獣:3

 将軍たちが酒やらつまみやら持ち込んで、海幻獣神殿は大騒ぎ。
 騒がしいのが好きじゃないからと断ったけれど、予想通りというかイオに捕まって強制連行。
(なんでこんなことにまでつき合わされなきゃなんないんだ、まったく……いや、待て? 物は考えようだ。カノン以外の海将軍がここに集っているということは…………)

 カノンと話が出来るチャンスではないか。
 カノンを呼んでくると言って、ここを抜け出せば、俺の行き先は皆に知れる。
 そうすれば、もし話し合いが決裂して俺の身に何かあったとしてもこの人たちにヒントを残せる。
 そんなことを考え、隅っこで大人しく菓子を食べていたら、うっかりクリシュナと目が合ってしまった。
 う。なんか嫌な予感……。

「そんな隅で遠慮してないで、アイザックも飲め飲め♪」
「遠慮してるワケじゃ……」

 すっかり出来上がっちゃったクリシュナが俺の首に腕を巻きつけて、酒瓶を寄せてくる。

「いらないってば」

 勘弁してくれよ、今、大事な考え事をしているのに。

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「ソレ」は闇に潜む獣:2

 カノンさんは、すぐうなされる。
 見かねて揺さぶると目を見開いてすんごい形相で飛び起きるから、ぶっちゃけ怖い。
 そんなだから、互いの額をガツンとぶつけたり、酷いことになる。
 まるでカタキにでも遭ったような勢いで俺の首をつかんで締め上げようとしたこともある。
  急に揺さぶったりすると驚いてこうなるのかもしれないと思い、次からできるだけ穏やかに声だけかけることにした。幼子をあやすみたいに。

「大丈夫、心配ない。心配ないから……」

 何の夢を見ているのかわからなかったし、何が大丈夫で何が心配ないのか意味不明だが、なんとか悪夢から引き上げてやりたかった。

「大丈夫、……いるよ。側にいるよ?」

 手を彷徨わせて伸ばしてくるときは、驚かせないように声をかけながらそっと握ってやる。
 薄目を開けたカノンさんは、ほっとしたような微かな笑みを浮かべて、またすぐに眠りの海に沈んでいく。
 いつも、そう。

(なんだか……子供みたいだ)

 朝に目覚めた本人は何も覚えていない様子だから、うなされているとか知らせたことはないけど。
 今夜もまた始まった。
 しかもご丁寧に歯軋りまで。

「カノンさん? 大丈夫か?」

 小声でまずは声をかけてみる。
 これで気がつけば、「なんでもない」とか言ってすぐに静かになるのだが。

「……いとめ……」
「うん?」
「…………聖闘士共め!」

 ……エ?
 今、せいんとって言った?
 俺は一瞬、身を堅くして眠るカノンさんの顔を見下ろした。

「出せ、ここから……俺を……誰だと……思っ…………俺はっ……」

 俺は、俺が……なんだって?

「…………聖闘士と関係が……?」

 かなり眉間のしわが深くなっている。
 これは俺が理不尽にも殴られたり、首を絞められたりするパターンの夢ではないか。
起こすべきか?

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「ソレ」は闇に潜む獣:1

「星のターラー」アイザック視点です。

物語の内容とはまったく関係ない話だけど、ギャラクシーカードバトルのカミュの幼少期カード見たんですが、アイザックとほぼ同じ髪型なんですが……!Σ(゚д゚lll)ガーン
アンタら、兄弟なの!?
顔の中身は違うけど、髪は色違いなだけですよね??
カミュの前髪がちょっとパッツンではありますがw
アフロとミロ、カミュとザックが兄弟でしたネタやってみたいなぁ。
内容が思いつかないので、結局、書かなさそうですが。



「ソレ」は闇に潜む獣


暗くて、冷たい。
冷た過ぎて、全身が痛い。
落ちる、沈む、溺れる。
苦しい。
手を伸ばしたけれど、つかめるものは何もなくて……
死ぬのか?
怖い……
酷く孤独だ。
これが……死ぬってことなのか……
会いたい。
もう一度。
せめて、最後のお別れだけでも……
死にたくない。
怖い。
こんな暗い水の底で、誰にも知られず死んでいくなんて、
―……嫌だ。

薄れゆく意識の中、暗く霞んだ視界に黒い、巨大な影が映った。
不鮮明な黒い靄のようなもの。
腕と思われるが定かでないそれをこちらに伸ばしてくる。
あれは……ナニ?
まさか……伝説の……クラーケン?
でも以前にも見たことが…………ああ、そうか。
アレは、「ソレ」だ。
暗闇に潜む者……。
そうか……お前はクラーケンだったんだな……。

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