忍者ブログ

星の墓場

星矢再熱。腐です。逃げて! もはや脳内病気の残念賞。お友達募集中(∀`*ゞ)エヘヘ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

「ソレ」は闇に潜む獣:1

「星のターラー」アイザック視点です。

物語の内容とはまったく関係ない話だけど、ギャラクシーカードバトルのカミュの幼少期カード見たんですが、アイザックとほぼ同じ髪型なんですが……!Σ(゚д゚lll)ガーン
アンタら、兄弟なの!?
顔の中身は違うけど、髪は色違いなだけですよね??
カミュの前髪がちょっとパッツンではありますがw
アフロとミロ、カミュとザックが兄弟でしたネタやってみたいなぁ。
内容が思いつかないので、結局、書かなさそうですが。



「ソレ」は闇に潜む獣


暗くて、冷たい。
冷た過ぎて、全身が痛い。
落ちる、沈む、溺れる。
苦しい。
手を伸ばしたけれど、つかめるものは何もなくて……
死ぬのか?
怖い……
酷く孤独だ。
これが……死ぬってことなのか……
会いたい。
もう一度。
せめて、最後のお別れだけでも……
死にたくない。
怖い。
こんな暗い水の底で、誰にも知られず死んでいくなんて、
―……嫌だ。

薄れゆく意識の中、暗く霞んだ視界に黒い、巨大な影が映った。
不鮮明な黒い靄のようなもの。
腕と思われるが定かでないそれをこちらに伸ばしてくる。
あれは……ナニ?
まさか……伝説の……クラーケン?
でも以前にも見たことが…………ああ、そうか。
アレは、「ソレ」だ。
暗闇に潜む者……。
そうか……お前はクラーケンだったんだな……。


しっかりしなさい。
我慢できるわね。
「絶対に死なせてなるものか!」

しっかりしなさい。
我慢できるな?

「いいか、死ぬなよ? お前は俺のために生きるのだ」
守ってあげなさい。
お兄ちゃんでしょ。

  氷河、氷河……大丈夫だったか?
  お前は無事か? 怪我はないか?
  母親にはまた今度、会いにいけばいいさ。

一人でいるときにしか見えないのは、お前が暗いところが怖いから。
トモダチだと思ってしまったのは、お前が寂しかったから。
でももう寂しくないだろう?
お前にはもう不要になったから、見えなくなったんだ。

  いらなくないよ、出ておいで?
  いらなくないよ、こっちおいで?

お返事は? 「はい」でしょ? お前は「はい」と言っていればいいの。






 目を開いたが、何も見えなかった。
 沢山の悲しい夢を見た気がするが、空虚な味わいが残っているだけで、内容は忘れてしまった。
 顔の左半分が燃えるように熱い。
 特に左目はいけない。何かが突き刺さっているみたいに激しく痛み、頭の芯まで響く。
 真っ暗で、痛くて心細い。
 身体が酷く重くてだるかったが、背中が痛んだのでなんとか身をよじり、寝返りを打つ。
 するとそこに大きな獣がいた。
 暗くて見えないけど、微かに息がかかる。
 それに触り心地のいい、長い毛が生えていた。
 この生き物はなんだろう?
 もしかして、「アレ」ではあるまいか?
 自分がもっと小さい頃、「アレ」とか「ソレ」とか呼んでいた、正体不明の黒いもの。

「……あったかい」

 「ソレ」は、俺にトモダチができると間もなく消えてしまった。

「ごめん、ごめんよ。……寂しかったな」

 温かくて、なんだか海の、優しい匂いがするみたい。
 俺はその大きな獣に抱きついた。
 そしたら、ソレも俺に抱きついてきた。
 さっきまでの不安が消し飛んで、とても幸せな気分になった。
 きっと、これも夢だろう。
 海の魔物のクラーケンにモシャモシャ長い毛が生えてるとか……なんかイメージじゃないもんな。


 二度目に目覚めたときは、たぶん、朝だった。
 瞼を開けてまたすぐに閉じたけど、なんか妙だ?
 もう一度、開いてみると目の前が肌色だった。
 そこに俺は顔を埋めていた。
 規則正しい鼓動が伝わってきて、それが人間の、それもガタイのイイ男の胸なのだとすぐに気がついた。
 カミュはこんなだったかな? なぁんか、おかしい??
 そもそもカミュと一緒に寝た記憶なんてほとんどないし、それもほんの小さい頃の話だからどうだったかなんて覚えてない。
 けど他にいないのだから、カミュなのだろう。

(ああ……気持ちがいい)

 まだ働きを取り戻さない頭でぼんやり思っていたら、半裸の「カミュ」が起き上がった。

「お。やっと起きたのか。このまま目を覚まさないかと思ったぞ」

 ……誰?
 起き上がった人物の顔が、まったく見知らぬ造形をしていたから、すんごいビビッた。

(カミュじゃない!?)

 そしてもちろん、髪の毛が生えているクラーケンでもない。
 パニックに陥って、思考が停止した俺にその男は言った。

「海底神殿へようこそ、七番目の戦士よ」




■□■




 どうやら俺は、助けられたらしい。
 溺れた弟弟子の救出に向かい、潮流に飲まれた俺はよりによって海皇が支配する海界に紛れ込んでしまった。
 ……大変に困ったことになったぞ。
 手厚い看病を受けて、身体は順調に回復に向かったが、気持ちは晴れなかった。
 ここでは誰もが俺を「クラーケン」と呼ぶ。
 人違いですと訴えても聞き入れられない。
 俺は聖闘士候補生だ。
 ……たぶん、なりそこないだけど……
 それでも女神側の人間であることには変わりない。
 だからなんとしてでもここから脱出する必要があった。
 ここの人たちはとても親切にしてくれるけど、俺が敵の手の者と知れたらどうなるかわからない。
 所詮、ただの候補生だから別に秘密とかそんな重大なことは知らないけれど、向こうにしてみれば、敵勢力の情報は少しでも欲しいところだろう。
 それにやっぱり、恩人を騙し続けるのが一番辛い。
 恩を仇で返すようで申し訳ないとは思うけど、騙し続けるよりよほどいい。
 というわけでこの海の底にある世界からどうにか逃れようとない知恵を絞ってみたが、いつも失敗に終わる。
 一つには、潮流に飲まれたときの傷が癒えていないこと。
 二つには、体力が戻っていないこと。
 三つには、帰り方がまったくわからないこと。
 ……うわぁ、なんて絶望的。
 どうしよう。どうすれば……
 俺の焦りとは裏腹に、平和に過ぎていくのんびりとした毎日。
 地上では、師と弟弟子が心配して捜してくれているだろう。
 いや、もう諦められている頃かな。
 下手をすると墓とか作られてるかもしれない。
 それに氷河が自分を責めまくっているはずだ。
 早く戻って俺が無事であることを知らせてやらないと。
 兄弟のように育ってきた相手を自分のミスで死なせてしまったのがもし俺なら、たぶん、胃潰瘍になって白髪になってハゲてたりする!
 ハゲるな、氷河! 今帰るぞ!!
 ……って、頑張って柱を登ってみたんだけど……
「クラーケン様、危険です!! お戻り下さい!!」
「いい子だから、降りてきなさーい!!」
「あんまり刺激するな、落ちるぞ!」

 氷を柱に出現させて、それを頼りにロッククライミングのノリで途中まで登ってはみたものの、ちっとも進んでいる気がしない。
 しかも。
 チラと下を見たら、ひ、人がゴミのようだっ!!
 夢中で上だけ見て登ってきたが、ふと足元を覗いたら、血の気が引いた。
 下なんか見なければよかった。
 こここここ……こんなときこそ、クールだ、アイザック!!
 大きめの氷柱をこの柱に対して直角になるよう作り上げて、とりあえずその上で休憩することにした。
 ずっと登ってきたから手足はだるいし、また左顔面に負った傷が開いているのか包帯がじっとり濡れてきている。
 しかもなんだか目眩までしてきた。
 誰もいないのを確認して、こっそり登っていたつもりだったのに、いつの間にやらあんなにギャラリーが集まっちゃってるし……どうしたものか。
 しかも困ったことに、

(……こっ…………怖くて降りようにも降りられないっ!!)
「う~、う~、う~」

 しかしいつまでもこうしているわけけにもいかない。
 しばらく休んだら、やはり上に登ろう。
 なんとしてでも帰るのだ! だって……

(もはや降りる方がコワイんだぜ!!)

 今回みたいに休み休み登っていけば、いつかはきっと……!
 なんて考えていたら、下の方が騒がしくなった。

「また小僧の逃亡劇かっ! ったく、無茶をしおって……! どこまで世話を焼かせれば気が済むのだ!?」
「待て、シードラゴン!! 連れ戻すのはいいが、刺激するなよ。あわてて転落するかもしれん」
「鱗衣なしであの高さから落ちたら助かりません、ここは穏便に……」
「わかっている!」

 内容まではよく聞き取れない。
 まぁいいや。とにかくもう少し休んだら、登らないと。
 そんな風に悠長に構えていたら……
「ゴルァァアァア!! こンの、ミニチュア・クラァケェェエェン!!!」

 ギャアアア!!?
 出た!! 
 オジサンが物凄い勢いで、俺の残した氷を辿って登ってきた!!

「シードラゴンッ!! だから、怯えさせるなって言ったじゃないですかっ!!」
「シードラゴンに行かせたのがそもそも間違いだったな」
「刺激しまくりだな。ありゃ落ちるぞ、屋根の上の仔猫……」
「何、冷静に言ってんだよ、カーサ!! お前があの子の大事な人に化けて近づけば良かったろうが!」
「えぇ~? メンドクセッ」
「ぅおいっ!?」
「遊んでるな、イオ! カーサ!! クッションになる物を何でもいいから集めろ!!」

 海の底だが、地上……と言ってもいいのか、とにかく下でもまたざわめきが起こっている。
 しかしそれを気にしている余裕はなかった。
 だって、カノンおじさんがメチャ速い!!
 そして顔が怖い!! 鬼の形相!!
 めっさ怒ってらっしゃる!!

「ひ~んっ」

 俺もあわてて、手足を引っ掛けるための氷を作り、上を目指す。
 海皇ポセイドンを奉じる海闘士のうち、頂点に位置するのが海将軍と呼ばれる七人。
 その中のクラーケンに俺は勝手に位置づけられてしまっており(人違いだってば!)、追ってくる鬼の形相をしたオジサンは、シードラゴンのカノン。……さん。
 海将軍の筆頭を務めるエライ人だ。
 気が短くて、大したことないことでもすぐ目を三角にして怒りだす。
 そして俺の頭上に雷を落とすんだ。
 少しはクールになんなよ、オジサン。

「うわわっ!? 来ないで下さいよ、オジサン!!」
「オジサンゆーな! 27はまだお兄さんの範囲だ、小僧!!」
「じゃあ、俺のことも小僧って呼ばないで下さい! もう13なんですからっ!」
「13はガキだ!」
「じゃあ、27はオジサンだねっ!!」
「そんならお前、倍生きた後になって、自分をお兄さんとか主張すんじゃねーぞ!? 10代前半にしてみりゃ遠い未来に思えても、20代になったらあっという間なんだからなっ!! ざまーみろっ!!」

 この低レベルのケンカをふっかけながら、どんどん距離を縮めてくるオ……カノンさんは、俺を診てくれていた人で、そこは感謝しているけど……
 捕まったらタンコブがまた増える。
 むぐぅ。冗談じゃないぞ。
 冷静沈着、文武両道、成績優秀!
 常に完璧な俺は、カミュにだってそんなに叱られたことはないんだからなっ。
 気安くボカスカ殴んなよ!
 てゆーか、顔の表情がわかるくらいに迫ってんだから、のん気にしてる場合じゃないぞ、俺!?
 しかし悲しいかな、登っていくための氷を作りながら進まなければならない俺とご丁寧にも鱗衣フル装着で追ってくるオジ……カノンさんではスピードが違い過ぎる。

「おい、動くなよ!」

 あっという間にすぐ下に迫っていた。
「鱗衣着てんだから、平気ですよね?」
「ナニ?」

 足をつかまれそうになった俺は、オジサ……カノンさんの頭を踏んづけて押した。

「ばっ……!? コラ、キサマ!! 落ちるだろうが!!」
「年上で恩人の貴方の頭を踏みつけるなんて申し訳ないとは思っているんですけど」
「本当にそう思っているか、少年!?」
「本当ですとも。俺はこれでも義理堅いんです。でも捕まるわけにはいかないので、すみませんっ」
「ぐっ、顔を踏むな、顔をっ」
「うわ、そういう貴方こそ、足をつかまないで下さいっ! 落ちるじゃないですかっ!!」
「他人の頭や顔に足を乗せているヤツの台詞か!」
「だから謝ってんでしょっ!」
「謝罪に聞こえんわっ!!」
「ぎゃっ!! 怖い、落ちるっ!! 引っ張るなっ!!」
「ははは~ん♪ 怖いのか。やぁっぱり、怖くて降りられなかったんだな、小僧!?」
「ちっ……」

 んなワケないじゃん! ないじゃんっ!!
 俺が……冷静沈着、文武両道、成績優秀、パーフェクトなこのアイザックがっ!
 怖いワケないっ!!
 怖くなんて、ぜんっぜん! なかった!!

「違いますっ!」
「フン、今、怖いと言ったろうが?」
「言ってませんーっ!!」
「言った!」
「言ってな……」

 口論していたら、手がかりにしていた氷がポキンって……ポキンて……ええっ!?

「……折れてるしっ!?」

 げ。マジか!?
 落下する!?
 ……と、思ったが、足首をつかまれていたお陰で逆さまにぶら下がるだけで済んだ。
 下は見ないように咄嗟に目を閉じた。

(済んだけど……このままヨシってワケにはいかない、よな)

 俺が作った氷を頼りに柱にへばりついているのは相手も一緒。
 しかも片手で人間一人をつかんでいるんだから、その先にある結末ったら……そりゃあ、もう。
 恐る恐る瞼を上げてオジ……カノンさんを見てみると、真っ赤な顔をして血管浮き立たせながら震えて耐えている。

「えーと……あの……」
「くそっ、もういかんっ! オイ、落ちるぞ、クラーケン!!」

 俺の見ている前で、カノンオジさ……カノンさんは柱を手放した。

「わあぁっ!?」
「ウルサイ、騒ぐな!」

 宙に放り出された俺の足を引っ張って引き寄せ、小脇に抱える。

「ったく、二度とこんなムチャクチャな真似すんなよ? コラ、聞いてんのか、クソガキ!!」
「ギャアアアーッ!!」
「叫ぶな、るっさい!!」
「怖い怖い怖いっ!!!」
「……ハァ。コレが最後の七将軍……大丈夫か?」
 なんか言っていたみたいだ、としか認識できなかった。
 空気抵抗からくる激しい風の音でよく聞き取れない。
 そもそもカノンさんの首に力の限りしがみついて目を堅く閉じている俺に、言葉の意味を追う精神的余裕など皆無。
 マジで死ぬ!とか思っていたら、カノンさんは下に向けて衝撃派を放った。
 風圧で身体が浮き上がる。
 思わず下を見てしまったが、もう地上?は近かった。
 地面にいる海闘士の人たちが、悲鳴をあげながら柱から離れていく。
 海将軍の方々は自分の小宇宙で結界を張って身を守っていた。
 カノンさんは何度か軽い衝撃派を下に向けて打ち、その度に速度を落として最終的にはスマートに……クールに! 石畳の上に降り立った。
 おおおおっ! カッケー!!
 小脇に抱えていた俺を下ろすと、拳を振り上げ……

 ……ゴッ☆

「ふぎっ!?」

 ………………星の砕ける様が見えたり見えなかったりした。

「お。コイツ、目に涙浮いてるぞ」

 カーサさんに指摘されて、あわてて目元を乱暴に拭う。

「よしよし、怖かったな」
「怖くなんてなかったです」

 頭を撫でてくるバイアンさんの手を払った。

「……どこまで強情なんだ、キミって子は」
「ま、無事で何より。よかったじゃないですか」

 イオさんとソレントさんが笑って言い、クリシュナさんは肩をすくめている。
 ……ハァ。またも失敗か。
 どーすっかなぁ。
 その後も脱走を諦めなかった俺は、とうとう牢屋にぶち込まれたけど、何故かすぐに釈放してもらえた。
 けどその代わり、腰にロープをつけられて24時間……カノンさんとつながれることになってしまった。
 ここに来てからずっとカノンさんの部屋で一緒に生活をしていたが、目を盗んで逃亡できていたのに、これではすぐにバレてしまう。
 ちょっとでもロープが張れば、すぐに力任せに引っ張り返されて、尻餅をつく。
 犬じゃないんだからと文句垂れたら、それより始末悪いと怒られた。
 そんな風に生活をしているうちに、俺は違和感を感じ始めていた。
 この人……なんか変だ。
 小宇宙が他の海界の人たちに比べて異色……。
 小宇宙なんか一人一人違うから個性と言えばそれまでなのだが。
 何だか引っかかる。
 俺はこの人を知っていたような気がするんだ。
 顔に見覚えは全くないんだが……ううん。わからない……気のせいかも。





 

拍手[1回]

PR