[お子ちゃませいんと☆魅惑の双児宮!]
「知ってるか~? てぃんこに毛が生えたら、オトナの印なんだぞっ」
物知りデッちんが言った。
「すごいな、デッちん。さすが物知りだ! アイオリア知ってた?」
「じゃあ兄さんももうオトナなんだ」
ってことは、アイオロスはあるのか。
「ヒゲはやして偉そうにしているオジサンいるだろ? あれと一緒で、大人だからこそ伸ばすことが許される、大人の証のヒゲなんだぜ!」
おおお! デッちんはなんて頭がいいんだ! さすがは年上!
「で? デッちんはオトナ?」
「……え? 俺は……も、もちろんオトナさっ!!」
さすがデッちん!……と言い掛けたら、アフロディーテがニヨニヨしながら寄ってきた。
「何言ってんだよ、ツルツルのミニミニソーセージじゃないか」
「うっ……! お前だってそうだろが!!」
「私は見栄張ってないもんね~♪」
アフロディーテもデッちゃんに負けず劣らず、頭いいんだ。
でも言っていることが俺には難しすぎてわかんないことが多い。
新聞と睨めっこしながら、カブカがどーのとか、これは今がカイだな、とか。
よくブツブツ言ってる。
あと馬の競走も好きらしい。応援する馬が一番じゃないときも喜んでいるから、たまによくわからない。
俺にもわかりやすくしゃべってくれるデッちんのが俺は好きだ。
「……うぐ……ちょっと待ってろ。誰か、マジック持ってねーか?」
「マジックでそんなトコに書き足そうとすんなよ。どんだけ見栄張りたいんだ、お前は」
シュラが肩をすくめてそう言った。
「あれ? お前たち、ウチの宮で何やってんだ?」
あっ。サガだ!
「あ~、俺らこれから下に降りるつもりだったんだけど、コイツラら話しかけてきたからちょっと構ってただけー」
デッちゃんは俺の頭をわしゃわしゃしながら答えた。
「ふーん?」
それまで黙っていたカミュがサガに近づいて服を引っ張った。
「サガは、オトナ?」
「……うん? なんだ、いきなり?」
「サガはおヒゲはやしてんの?」
「ヒゲ……? ヒゲは生えてないよ。見ればわかるだろ?」
サガはカミュを抱き上げて頬ずりをした。
はわわわわっ! ずるいっ、俺も俺もぉ~。
「ほら。ジョリジョリしない」
「ううん。そこじゃなくて、ちんちん」
「……は?」
「ちんこ」
「………………。」
サガは黙ってカミュを下ろした。
「……フ。そうか。お前たちは、このサガのッ!! 美しく完璧なボディーを拝謁したいというのだなっ!?」
なんだかサガの髪の毛がだんだん黒くなっていくけど、あれもオトナの印かなぁ?
「……じゃ、俺ら行くわ」
せっかくサガが見してくれるって言ってるのに、デっちんとアフロディーテとシュラは三人だけのおしゃべりをしながら、双児宮を出て行ってしまった。
「待ってて、サガ! 俺、ムウたちも呼んでくる!!」
そうだ、せっかくだから、サガの自慢のてぃんこを皆にも見せてあげよう。
俺とアイオリアはムウとアルデバランを呼びに。
カミュはシャカを呼びに手分けして走った。
俺たち6人はそろって、双児宮の床できちんと正座した。
髪の毛が黒くなって、目が充血したサガがいよいよしんぴのべるを脱ぐと言ったので、俺たちはわくわくして拍手をした。
「見るがいい! 星々も魅了するこのサガの完全なるチン……」
ザシュッ!
……一瞬で服を脱ぎ去ったサガの股の間に、黄金の矢が飛んできた。
サガのすぐ後ろにある柱に突き刺さって、ビーンって揺れてる。
「ごっめーん、サガァ。うっかり、当てるつもりで矢を放っちゃった」
「あっ、兄さんだっ♪」
アイオリアが立ち上がって、いつの間にか来ていたアイオロスに駆け寄った。
ピカピカ聖衣を着ているかっこいいアイオロスは、アイオリアの頭をなでてから、にこやかにお友達のサガに話しかけた。
仲良しさんだっ♪
「……チビ共に卑猥なブツ、見せないでくれるかなぁ? 教育上、よくないんだよねぇ~え?」
「フ、何を言うか、アイオロス。教育というのなら、これも立派な教育ではないか。知らないでは済まされんぞ」
股下から出ている黄金の矢を抜き取って、サガは言った。
アッブネー! マジアブネー! とか呟きを入れながら。
「まだそんな歳じゃないっ!!」
今の今までニコニコしていたアイオロスが急に怒った。
コワイ……
「大きいですが、私のお師匠さまの方がご立派です」
「ほう? さすがは教皇。高齢であってもやはりオトナはオトナということだね?」
「俺は体がデカイけど、ちんちんはあんなにないぞ。やっぱりサガは只者じゃないな」
「むぅ。アルデバランほどの男が言うのであれば、間違いないな」
アイオロスと全裸のサガがケンカしている間にムウとシャカとアルデバランとカミュがそれぞれ感想を言い合っている。
珍しくシャカも目がパッチリだ。
アイオリアはお兄ちゃんで見慣れているのかそんなに関心は示さなかった。
それより俺は、ズボンもベルトもしているし、手も足も顔も服に通してあるのに、あと靴も履いているのに、なんで胸の辺りの服をつかんで引っ張っただけなのにサガが全部裸になれたのかが気になった。
俺も試してみようと思って引っ張ってみたけど、伸びただけだった。
大人になると一発で服を脱げるようになるみたいだ。
風呂に入るときに面倒くさくなくていいなと俺は思った。
空気を読む機能が備わっていない、友達のカミュがトコトコ寄って行って、ケンカ続行中のサガの足元にしゃがんだ。
「あわわ、カミュ、怒られちゃうよぅ」
俺の制止も聞かず、サガの立派なてぃんこを観察しているようだ。
「なんか形がちがーう」
言って、俺に手招きした。
「じっくり観察せんでいいっっ!!!」
叫んだアイオロスが小宇宙を燃やし、聖衣をまとっているその拳で、全裸のサガをぶった。
サガは双児宮の天井を壊して、お空に飛んでいった。
なんだか、今、小宇宙がはじけてそして消えていった気がする。
昼間だというのに、空に一筋の流れ星が……
お空にサガの笑顔が大きく映っているのは気のせいだろうか?