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星の墓場

星矢再熱。腐です。逃げて! もはや脳内病気の残念賞。お友達募集中(∀`*ゞ)エヘヘ

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お子ちゃませいんと☆3本立てすぺさる!

[お子ちゃませいんと☆魅惑の双児宮!]

「知ってるか~? てぃんこに毛が生えたら、オトナの印なんだぞっ」
 物知りデッちんが言った。

「すごいな、デッちん。さすが物知りだ! アイオリア知ってた?」
「じゃあ兄さんももうオトナなんだ」

 ってことは、アイオロスはあるのか。

「ヒゲはやして偉そうにしているオジサンいるだろ? あれと一緒で、大人だからこそ伸ばすことが許される、大人の証のヒゲなんだぜ!」

 おおお! デッちんはなんて頭がいいんだ! さすがは年上!

「で? デッちんはオトナ?」
「……え? 俺は……も、もちろんオトナさっ!!」

 さすがデッちん!……と言い掛けたら、アフロディーテがニヨニヨしながら寄ってきた。

「何言ってんだよ、ツルツルのミニミニソーセージじゃないか」
「うっ……! お前だってそうだろが!!」
「私は見栄張ってないもんね~♪」

 アフロディーテもデッちゃんに負けず劣らず、頭いいんだ。
 でも言っていることが俺には難しすぎてわかんないことが多い。
 新聞と睨めっこしながら、カブカがどーのとか、これは今がカイだな、とか。
よくブツブツ言ってる。
 あと馬の競走も好きらしい。応援する馬が一番じゃないときも喜んでいるから、たまによくわからない。
 俺にもわかりやすくしゃべってくれるデッちんのが俺は好きだ。

「……うぐ……ちょっと待ってろ。誰か、マジック持ってねーか?」
「マジックでそんなトコに書き足そうとすんなよ。どんだけ見栄張りたいんだ、お前は」

 シュラが肩をすくめてそう言った。

「あれ? お前たち、ウチの宮で何やってんだ?」

 あっ。サガだ!

「あ~、俺らこれから下に降りるつもりだったんだけど、コイツラら話しかけてきたからちょっと構ってただけー」

 デッちゃんは俺の頭をわしゃわしゃしながら答えた。

「ふーん?」

 それまで黙っていたカミュがサガに近づいて服を引っ張った。

「サガは、オトナ?」
「……うん? なんだ、いきなり?」
「サガはおヒゲはやしてんの?」
「ヒゲ……? ヒゲは生えてないよ。見ればわかるだろ?」

 サガはカミュを抱き上げて頬ずりをした。
 はわわわわっ! ずるいっ、俺も俺もぉ~。

「ほら。ジョリジョリしない」
「ううん。そこじゃなくて、ちんちん」
「……は?」
「ちんこ」
「………………。」

 サガは黙ってカミュを下ろした。

「……フ。そうか。お前たちは、このサガのッ!! 美しく完璧なボディーを拝謁したいというのだなっ!?」

 なんだかサガの髪の毛がだんだん黒くなっていくけど、あれもオトナの印かなぁ?

「……じゃ、俺ら行くわ」

 せっかくサガが見してくれるって言ってるのに、デっちんとアフロディーテとシュラは三人だけのおしゃべりをしながら、双児宮を出て行ってしまった。

「待ってて、サガ! 俺、ムウたちも呼んでくる!!」

 そうだ、せっかくだから、サガの自慢のてぃんこを皆にも見せてあげよう。
 俺とアイオリアはムウとアルデバランを呼びに。
 カミュはシャカを呼びに手分けして走った。
 俺たち6人はそろって、双児宮の床できちんと正座した。
 髪の毛が黒くなって、目が充血したサガがいよいよしんぴのべるを脱ぐと言ったので、俺たちはわくわくして拍手をした。

「見るがいい! 星々も魅了するこのサガの完全なるチン……」



 ザシュッ!



 ……一瞬で服を脱ぎ去ったサガの股の間に、黄金の矢が飛んできた。
 サガのすぐ後ろにある柱に突き刺さって、ビーンって揺れてる。

「ごっめーん、サガァ。うっかり、当てるつもりで矢を放っちゃった」
「あっ、兄さんだっ♪」

 アイオリアが立ち上がって、いつの間にか来ていたアイオロスに駆け寄った。
 ピカピカ聖衣を着ているかっこいいアイオロスは、アイオリアの頭をなでてから、にこやかにお友達のサガに話しかけた。
 仲良しさんだっ♪

「……チビ共に卑猥なブツ、見せないでくれるかなぁ? 教育上、よくないんだよねぇ~え?」
「フ、何を言うか、アイオロス。教育というのなら、これも立派な教育ではないか。知らないでは済まされんぞ」

 股下から出ている黄金の矢を抜き取って、サガは言った。
 アッブネー! マジアブネー! とか呟きを入れながら。

「まだそんな歳じゃないっ!!」

 今の今までニコニコしていたアイオロスが急に怒った。
 コワイ……

「大きいですが、私のお師匠さまの方がご立派です」
「ほう? さすがは教皇。高齢であってもやはりオトナはオトナということだね?」
「俺は体がデカイけど、ちんちんはあんなにないぞ。やっぱりサガは只者じゃないな」
「むぅ。アルデバランほどの男が言うのであれば、間違いないな」

 アイオロスと全裸のサガがケンカしている間にムウとシャカとアルデバランとカミュがそれぞれ感想を言い合っている。
 珍しくシャカも目がパッチリだ。
 アイオリアはお兄ちゃんで見慣れているのかそんなに関心は示さなかった。
 それより俺は、ズボンもベルトもしているし、手も足も顔も服に通してあるのに、あと靴も履いているのに、なんで胸の辺りの服をつかんで引っ張っただけなのにサガが全部裸になれたのかが気になった。
 俺も試してみようと思って引っ張ってみたけど、伸びただけだった。
 大人になると一発で服を脱げるようになるみたいだ。
 風呂に入るときに面倒くさくなくていいなと俺は思った。
 空気を読む機能が備わっていない、友達のカミュがトコトコ寄って行って、ケンカ続行中のサガの足元にしゃがんだ。

「あわわ、カミュ、怒られちゃうよぅ」

 俺の制止も聞かず、サガの立派なてぃんこを観察しているようだ。

「なんか形がちがーう」

 言って、俺に手招きした。

「じっくり観察せんでいいっっ!!!」

 叫んだアイオロスが小宇宙を燃やし、聖衣をまとっているその拳で、全裸のサガをぶった。
 サガは双児宮の天井を壊して、お空に飛んでいった。
 なんだか、今、小宇宙がはじけてそして消えていった気がする。
 昼間だというのに、空に一筋の流れ星が……
 お空にサガの笑顔が大きく映っているのは気のせいだろうか?


 

[お子ちゃませいんと☆凶行の間!~恐怖のシザーマン]

「……ふぅ。いいか、お前たち! 大人になる前に大人のチンチン見ると大人になれなくなるから、もうチンチン観察会はおしまいっ!!」
「えぇ~!?」
 た、大変だっ!!
 ムウなんかいつもお師匠さんのてぃんこ見てるから、大人になれなくなっちゃう!
 俺らも皆、サガのてぃんこみたからダメなのか!?

「……いや……1回くらいは大丈夫」

 アイオロスが言ったら、突然、ムウが泣き出してしまった。

「じゃあっ、じゃあ、私は大人になれないのですね!? いつもお師匠……シオン様とお風呂いっしょです」
「えっ、じゃあ俺も? 兄さん、俺も?」
「えっ、いや、それはその……きょ……今日からだっ! 今日からあんまりじっくり見たりしちゃダメ! 見えてもいいけど、見ようとしちゃだめというか……今日みたいに、見せてーとか言ったらダメなんだぞ?」

 見えてもいいけど、見ようとしちゃだめ……なんか難しいけど、俺たちはとりあえずうなずいた。
 皆が解散するときにまだ泣き止まないムウにシャカが言った。

「ムウ、そんなに悲観するものではない。よいかね、つまり、今後見えなければいいのだから」

 そしてシャカは足取り軽やかに一人で階段を上がっていった。
 ムウはアルデバランに手を引かれて、自宮へと戻っていった。

「俺らも帰ろ」
「うん」

 アイオリアとカミュと三人で手を繋ごうと思ったら、アイオリアはさっさとお兄ちゃんの背中によじ登ってしまった。
 ……ちょっとイイナ……ちょっとだけ。

「……ミロ」
「なに、カミュ?」
「……今、私よりアイオリアの手を先につなごうとしなかった?」
「……う、ううん」
「……ほんと?」
「う、うん……」

 カミュはA型のせいか、細かいことにウルサイ。
 たまに順番がどうこう言ってくる。
 面倒くさいから、なるべく文句を言われないようにカミュが納得するように答えることにしていた。

「このまま宝瓶宮に来ない? 一緒におやつ食べよう」

 カミュに誘われたので、まだ遊び足りない俺はついて行くことにした。
 そこで俺たちが聞いたものは……



「ぎゃああああ!!??」



 古布を引き裂くような、じじぃの悲鳴だった!

「カミュ!」
「なに?」
「いや、ナニ? じゃなくて、悲鳴っ!!」

 カミュには空気を読む機能が備わっていないので、この悲鳴を聞いてもお菓子を食べるのに夢中だった。
 しかも面倒臭そうに、

「放っておけばいい。それより何して遊ぶか」

 いやいやいやいやっ! せいんととしてダメだろ、それ!?
 正義の味方の俺は、悲鳴の聞こえた上へ向かって走り出した。
 動く気配を見せないカミュを引きずって。
 双魚宮は無人!
 すると教皇の間か!?

「ぎゃあああ!? 何をする、シャカ!! よしなさいっ!!」
「さぁ、おとなしく、ちんちんを切り落とさせたまえ」
「何を考えておるのだ!? いい子だから、その物騒な枝切りハサミを手放しなさーい!!」
「貴方のお弟子さんが、将来、オトナになれるかどうかの瀬戸際なのだよ」
「わけがわからんっ!!」

 正義感に燃える俺たち二人が到着すると、教皇とシャカが楽しそうに椅子の周りをグルグル追いかけっこしていた。
 シャカは両手で大きなハサミを持って、シャキンシャキン動かしている。

「楽しそうだな」

 どうやらカミュも興味を示したようだ。

「よし、仲間に入れてもらおーっ♪」

 大喜びで俺らも輪に加わった。
 教皇のシオンじぃじは忙しくてあんまり遊んでくれないから、シャカ一人だけ遊んでもらうなんてズルイもんな。

「シオじぃ、俺らもい~れてっ☆」
「どっちが鬼だ? 追いかけっこなのだろう?」
「ひぃいいぃ!? 増えた!? 悪魔小僧が3匹にっ!?」
「いくかね、ポトリと」
「来るなぁぁぁ!!!」





 

[お子ちゃませいんと☆双魚宮!]

別に、いいんだけどね?
関係ないし?
だけど、まぁ、ね。
ムウには教皇が。
アイオリアには弟にデレデレの兄アイオロスが。
シャカは構うと瞑想の邪魔みたいで怒るからたぶん、本当に構われたくない。
ミロは誰にでも懐くし、可愛がられるタイプだから問題ない。
宝瓶宮のカミュは年上の私とシュラに挟まれているから何かとチョッカイ出されている。
……で。





 私は黄金最年少のガキ共が6人が寄ってたかって、ジェミニの聖衣を「カッコよく」してくれている様を見つめていた。
 場所は私の双魚宮。
 新聞の株式欄に目を通して紅茶を飲んでいたら、このチビッコギャング共が遊びに来てやかましいので、玩具を与えておいたのだ。
 ……双子座と蟹座、そして山羊座の聖衣を。

「ああんっ! ミロが私の取りましたぁっ!!」
「先に取ったモン勝ちだもん!」
「……コラ、6人だから、2人で1体ずつ。3つ聖衣持ってきてやったろ?」

 私が注意すると今度は、

「コレ、どれのパーツ?」
「人型のジェミニではなさそうだな」
「……なんでもよかろう」

 どうやら、バラしてどれがどれだかわからなくなったようだった。
 まぁ、いいけど。
 彼らはくれよんを駆使して、それらを芸術的に飾り立ててゆく。
 たまにケンカが始まったら、口を出して、それ以外は放っておいた。
 どうせそのうち疲れて眠るだろう。
 ……ホラ。
 1時間もしたら、頭をこくりこくり揺らすのが出てきた。
 ひとーり、ふたーり……
 午後には全員がはしゃぎ疲れて眠ってしまった。
 起きだす頃に紅茶とクッキーを用意して、食べさせたらそろそろ聖衣を片づけさせよう。

「アフロディーテの淹れたお茶はいつ飲んでも美味しいね」
「ありがとう、アイオリア」
「何を見ているのだ?」
「写真集だよ、カミュ」
「なんで女の人、ハダカなの?!」
「さぁね。サガに聞いてごらん? サガのベッドの下から出てきたから、まだ何かお宝があるかもね。今度漁ってごらんよ、ミロ」
「仮面つけなくてもよいのかね?」
「外の女の人は仮面なんかつけないんだよ、シャカ」
「サガは自分でもすぐ脱ぎますし、ハダカが大好きなのですね」
「うーん。ムウももう少し大きくなったら、好きになるかもね」
「俺はもうおっきいぞ!」
「……年齢の話だよ、アルデバラン」

 ほら、そろそろ片づけろ。夕方だぞ。
 私は手を叩いてチビッコギャング共を急かした。
 チビッコといっても、私と2つしか変わらないが、この頃の2年は全然違うからね。
 私は自分と同じくらいの子供よりマセてるし、物もよく知っているから精神的には、この子らよりもっとずっと上のつもり。
 この子らも私には逆らわない。
 今後のことを考えて、最初の時点でちゃぁ~んと、全員にちょっとヤキを入れておいたから。
 私に逆らうとどうなるのか、身をもって知っているハズだ。
 そしてお利口にしていれば私は害のない人間だということも。

「さぁ、片づけは済んだかい?」
「できたー!!」
「はいっ!!」

 それぞれが誇らしげに私に報告してくる。

「よし。では、ミロとカミュは山羊座の聖衣を元の磨羯宮に置いから帰ること」
「うんっ」
「……わかった」

 二人はバラバラのままパーツを適当につっこんだ山羊座の聖衣ボックスを二人で持ち上げて双魚宮から降りていった。

「アイオリアとシャカは、蟹座の聖衣を巨蟹宮にね」
「よしっ」
「了解した」

 同じく、ちゃんとキャンサーのパーツだけ入っているのか怪しいボックスを二人が運んでいった。

「で、双子座は俺とムウだな?」

 6名の中で一番発育のよいアルデバランが一人で聖衣ボックスを持とうとすると、あわててムウも手を出した。

「届きませんから、もっと低い位置にして下さいっ」
「ムウは小さいし力がないからいいよ、俺は力持ちだから一人で持てる」
「ダメです、疲れてしまうし、私もちゃんとお片づけを……」

 う~ん。可愛いなぁ。二人とも。
 良い子なんだよねぇ。
 特にアルデバランはいつもこんな役なんだよ。
 自分でも周りから見た自分の位置っていうのがわかっているのかもしれないね。
 だけど、キミたちは同い年のお友達なんだよねぇ。
 私は、アルデバランからボックスを取り上げた。

「あっ」
「私も今日は下に用があるのさ。だから、これは私が持っていくことにしよう。それと、今日はね。アルデバランの特別日に決めた」
「……俺の……特別日?」
「アルデバラン、今日……誕生日ではないですよね?」

 ムウとアルデバランが顔を見合わせている。
 私はその場にしゃがんで普段はお山の大将然としている彼を促した。

「負ぶっていってやろう」
「いっ!? いいよ、俺は一人で……」
「なんだ。私の言うことが聞けないの?」

 イジワルく、ニヤリと笑ってやった。

「そっ、そうではないが……そうだ! 足の短いムウがおんぶしてもらえっ!」
「えっ? ……いえ、私はいいんです。今日はアルデバランの日なのですっ♪」

 察しのいいムウは、背中で両手の指を組んで一歩後ろに下がった。

「そして足の短いは余計です。背が伸びるのが少し遅いだけで、そのうち貴方をぐっと抜く予定ですから」

 結局、おずおずと遠慮がちに私の背に乗ったアルデバラン。

「おっ、重いぞ、大丈夫か、アフロディーテ? 無理はダメだぞ」
「なぁに。私はこれでも聖闘士だよ?」

 確かに2年上の私よりも横幅も縦幅も体重もある。
 だが、このくらい……!
 ……あれ?
 た……立てない?
 そんなバカな!?

「……どうかしたのですか、アフロディーテ?」

 ムウが心配そうに顔を覗き込んできた。

「やっぱり降りようか?」

 ナマイキにもこのピスケス・アフロディーテを気遣う牛に私は言った。

「……私を見くびるなァッ」

 どぉりゃああっ!!!
 ……ど、どうだ、立ったどー!!




……ゴキンッ☆




 なんか……背中だか腰だかから変な音が聞こえた気がしたが……
 きっ……気のせい!
 気のせいに決まっている!!

「行くぞ、ムウ! ついてこいっ!!」
「あっ、待って。聖衣を運びます!」
「そんなモンはいい! 私が持ってゆくっ!!」
「で、でも……」
「燃えろ!! 私の小宇宙よ!! 究極にまで高まれっ!!! ハアァァァァ!!!」

 私は双子座の聖衣ボックスを最大出力で蹴飛ばした。
 アルデバランを背負った私とムウが階段を走り降りる。

「おお! スゴイぞ! 速いぞ、さすがはアフロディーテ!!」

 背中でアルデバランが喜んでいる。
 フッ、可愛いものではないか。
 アイオリアたちが日常的に味わっている楽しみをキミも味わうべきだよ。
 もうしばらくしたら、こんなことは誰もやってくれなくなるのだから。
 子供の特権というヤツさ。
 双子座の聖衣を蹴り落としながら、私は進む。

「蹴り転がして持って行っていいのですか? やはり私が……」
「いいんだよ、ムウ。このくらいで聖衣は傷つきゃしないさ。……どうせ、サガのだし。気にすることはない」

 アルデバランを今日は甘やかせてやろうというのはいいが、だからといってムウだけに聖衣を持たせるのは可哀想だと思ったからだ。
 いくら念動力に優れているといっても、問題はソコじゃない。
 どちらか一方だけ、というのはあまり好ましくない。
 そうでなくとも今回は我慢させているのだから。
 そして私の意を汲んで素直に身を引いてくれているのだから。
 これが俺も俺もズルイズルイとダダこねるミロや、他人事みたいに耳をほじって運ぶ気のさらさらないカミュや、自分が運ぶなんて冗談もいい加減にしたまえ的なシャカなんかだったら、絶対に絶対に一人で運ばせるが、比較的良い子のムウでは仕方がない。
 ……あくまで比較的の範囲であって、このムウにしたところでクレヨン片手に十二宮を荒らし回る、凶暴凶悪なチビッコギャングの一員には違いないのだが。
 それにしても双子座の箱はずいぶん重いな……
 絶対これ、キャンサーやカプリコーンのパーツ混入してるぞ?!
 まったくチビ共め。ロクに片付けもできんとは。
 まぁ、他人の聖衣だし、どうでもいいか。
 ジェミニを蹴り運びつつ、金牛宮まで走りぬけた。

「よし、到着っと」
「……ありがとう、アフロディーテ。た、楽しかった」

 私よりも体躯は立派だが、まだ幼児の範囲であるアルデバランが照れながら言う。
 ふんっ。別に私は親切でやったわけではない。
 他のガキ共と同じに扱ってやっただけのこと。
 礼を言われる筋合いなどないさ。フッ。

「ではな、二人とも」

 私は金牛宮から自分の宮へ帰るために背を向けた。

「あれ? アフロディーテは下に何か用があったのでは?」
「……そんなこと言ったっけ? 忘れてしまったよ」

 言い残して二人と別れた後で、




ピッキーン☆




 私はその場にうずくまった。
 こっ……こここここ……腰が……腰がぁぁっ!!





■□■





 ……ヒマだな。
 入院部屋で私が窓の外を眺めていたら、「面会です」とドアが開いた。
 顔を出した三人の黒い笑顔に、私は引きつった微笑を返す。

「や~あ、我が親愛なるおちゃかなちゃんよ! ……会いたかったぜぇ~?」
「は……はは。デスマスク……元気かい?」
「大変だな、腰が痛むとか? それだとちょっと……俺のエクスカリバーが避けられるかどうか。……なぁ? アフロディーテよ」
「あ~……刃物を病院では振り回しちゃダメじゃないかな~って……」
「我々の聖衣をカッコよくしてくれてありがとうな。お陰でとってもカラフルで落とすの大変だったよ。それと私の秘蔵の本にミロが全部、クレヨンで服を描いて着せてくれた。ハダカだと女の人たちが風邪をひいてしまうと。いやぁ、いい子だなぁ。ところでそこにお宝あるって教えてくれたのは、お前だそうじゃないかぁ~♪」
「うっ、ばかミロ……!」

 ……うわ~……ヤッバ~……ぷち殺されるな、コレ……
 私は冷たい汗を滝のように流しながら、笑顔で切り抜けようとしたけど……もちろん、ダメだった………………。
 ……まぁ、あれだね。
 三人の熱烈な見舞いのお陰で、入院期間が大幅に伸びたよ。……うん。
 持つべきものは、友だと思わないか?
 こんなに熱い見舞いの品をいただいちゃって……フフ……フフフフ……あだだっ。

「イテテ……あ、そうだ。私の入院は、チビたちに漏らしてないでしょうね?」
「……安心しろ。任務といってある」
「あっそ。治ったら覚えてろ」
「こっちの台詞だ、ボケ」
「ま、早く治してとっとと帰ってくるんだな。ピスケス聖衣もお洒落にしといてやったから」

 ……チッ。やっぱりか!






[おしまい] 

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