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星の墓場

星矢再熱。腐です。逃げて! もはや脳内病気の残念賞。お友達募集中(∀`*ゞ)エヘヘ

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お子ちゃませいんと☆巨蟹宮!

 めだかのきょうだいは かわのなか。
 おおきくなったら なんになる?
 おおきくなったら コイになる。
 おおきくなったら クジラに。
 だけどおおきくなっても めだかはめだか。
 
「俺もカニになった! カニになった!!」

 何故だか俺を気に入っていつもまとわりついてくるチビッ子が、巨蟹宮にすっ飛んできた。
 齢、6歳。
 恐ろしいことに今回の黄金は、わずか6~7歳でその地位を獲得する者が半数もいる。
 コワ。
 コッワー。
 かくいう俺も黄金になったのは、そのくらいのときだったのだが。
 才能、としか言いようがない。
 所詮はお子様で、いくら武術を仕込まれていても、怪力であるわけがない。
 要は小宇宙だ。
 強大過ぎる小宇宙を生まれながらに宿している。
 そんなのがこの時代には、ウジャウジャいた。
 かくいう俺もまだ10歳。
 同年代に山羊座の黄金聖闘士のシュラがいて、一つ下に魚座のアフロディーテがいる。
 黄金聖闘士になるようなヤツには、子供の頃からその片鱗が見え隠れしているそうだが、俺たちの世代は片鱗どころではない。
 最初からモンスターだった。
 で。
 そのチビッコモンスターの一匹が、この金髪クリクリ小僧。

「カーニ! カーニ♪」
「いや、それ、蟹じゃねーし」

 自分が収納されてしまうような、体に見合わない大きな聖衣ボックスを引きずってきて、カニカニとはしゃぐミロが取得したのは、スコーピオン。

「でもハサミついてるぞ?」
「そりゃオメー、蟹じゃなくて、蠍だろが」
「サソリはカニ?」
「いや、蠍は蠍」
「カニの仲間?」
「クモの仲間」

 親切に教えてやったら、急に黙り込んでしまった。

「……なんだよ」

 じっと俺を見上げていたかと思うとミロミロ内に……じゃなかった、みるみる内にくしゃりと顔が歪んできた。
 うっわ、爆発寸前……!
 くるぞ、くるぞ~。



「……うっ、うっ……うぐっ……カニ……カニがいい……カニじゃないとヤダ……。やぁだぁあぁぁ!!! カニじゃないとヤダヤダヤダヤダヤダー!!! カニィ!! カニカニカニカニカニカニカニ!!! カニになりたぁいぃ~っ!! うわぁぁ~ん!! シオンじぃじ、カニととっかえてぇー!!!」

 ハイ、キター!!
 必殺、お子ちゃまビックバン。
 手足をばたつかせ、床に転がりわめき散らす。
 もー、勘弁してくれ。
 だからガキは嫌いなんだよ!

「なんで蟹にこだわんだよ。ぶっちゃけ、蠍のが聞こえがいいだろ」

 よりによって蟹だぞ、蟹。
 俺は別に気にしないが、少なくとも一般的に蟹よりゃあ蠍のがカッコよさげにとられるだろ。

「だって……」

 転げまわるのをやめて、ミロは上半身を起こした。
 顔は涙と鼻水とヨダレでぐっちゃぐちゃ。
 ……きったねぇなぁ、もう。

「だって、……ふぐ……デス兄ィが……き、着てたの見てたら……ヒック……カコイイ……俺もおんなじがよかった」

 ……ぬ!?
 なにぃ。
 くっそ、可愛いこと言うじゃねーか、コノヤロ。
 小汚い顔をハンカチでグリグリ拭いてやりながら、まんざらでもねーな、なんてちょっとイイ気になった。

「俺もデッちんとおそろいしたいぃっ!!」

 や、おそろいは無理だから。
 二つ同じのはナイから。

「交換こしてっ!」
「……ダメ。そもそも俺は蟹座でお前は蠍座なんだから無理。聖衣は誰にでも着れるわけじゃねーし」
「むぅ」
「むぅ、じゃねーよ。あ~、メンドクセーな。……わかった! こうしよう」
「うん?」

 このまま押し問答を続けても仕方ない。
 丸め込んでこの場を切り抜けよう。

「ソレはザリガニだ!」

 俺はスコーピオンの聖衣ボックスを指差した。

「ザリザリ……?」
「いや。ザリガニだ」
「ザリ……」

 ミロは口の中で繰り返しながら、必死に考えている。
 数秒後、どうやら答えにたどり着いたらしく、誇らしげに叫んだ。

「ザリガニ!! ザリガニはカニ?」
「おお、そうだ。カニだ! よかったな。カァ~ッコイイ!」

 ……ま、ザリガニはカニじゃないけどさ。
 そしてサソリはザリガニじゃないんだが……
 まぁ、どうでもいいや。納得してくれれば。

「カッコイイ? ミロ、カッコイイ!?」

 気の強そうな目を輝かせて、鼻息を荒くしている。
 俺が6歳の頃は、こんなおばかじゃなかったハズ。
 ……覚えてねーけど。
 絶対こんなじゃなかったハズだ。

「そっかぁ~。ミロもデっちんかぁ~。ウフフ」

 ……どうしてそうなる?

「俺、今日からザリガニのデスマスクな!」
「や、ザリガニのミロでいいだろ」
「んふーっ、んふーっ。俺、超かっきぃ☆」

 はしゃいでそこらを飛び跳ねるミロを見て、俺はひとつ溜め息をこぼした。
 コイツがもちっと大きくなったら、今日のこの話をしてやろう。
 きっと真っ赤になって否定すんだろうな。

「ハハッ」
「どうした? 何が面白い??」
「なんでもねーよ」

 あ~あ。聖域って……平和だなぁ。

「カミュにみしてくるっ!」

 そう言い残して、自分が見えなくなるくらいの聖衣ボックスを引きずっていくミロを見送り、一息ついていると柱の影から嫌~なヤツが嫌~な薄ら笑いを浮かべて出てきた。

「俺もジェミニがいい~……なーんて。お前も騒いだよな?」

 ぐはっ!!

「言ってねーよっ! それ、アンタのモーソー」
「いいや。言ったね。ブカブカのジェミニのマスクを被っちゃって、サガちょと一緒がいいって返さなかったもんなぁ」

 腕を組みながら、柱に背を預けてウソこいているのは、5歳上の聖闘士として先輩である双子座のサガだ。

「んなワケねーだろ」
「“サガちょ、カッコイイ~♪ 俺、大きくなったら双子んなる”」
「言ってませんー!!」
「いやー。今更なれないのに双子になるって聞かなくて……可愛いかったなぁ、あの頃は」

 本人が全否定してるっていうのに、完全にシカトこいてありもしない物語を創作している。

「ウッセ。何しに来たんだよ! あっち行けよ、オッサン!」
「今でも私が大好きだろう、素直になっていいんだぞ」
「帰れっ!!」




 金ピカきょうだいは十二宮
 おおきくなったら なんになる?
 おおきくなったら キャンサーに!
 おおきくなったら ジェミニに!
 だけどおおきくなっても……?
 聖域は今日も平和。

[おまけ]

「カミュゥ~、俺、ザリガニになったぞ! これで俺もカニだっ。うふふっ」
「……ミロ……それはザリガニではなく蠍だし、ザリガニは残念だが蟹ではない」
「……!? な、なにぃ!?」



 

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