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星矢再熱。腐です。逃げて! もはや脳内病気の残念賞。お友達募集中(∀`*ゞ)エヘヘ
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例によって例のごとく、見直ししてないのでまたおかしなところはあとで手直しします(爆)
■□■
噂を、聞いた。
蠍は水瓶と良い仲である、と。
心がざわめく。
「……なんだよ。いんのか……ちぇ」
でも、そうだな。
いないワケがない。
あれほどの男に。
偶然、聞いた。
生きて再会できたことを祝おう、と彼らが約束をするのを。
良い仲であるという二人が、夜に酒を酌み交わせば行き着く先は決まりきっている。
触れたい、触れたいと願う相手が誰とも知れぬ相手の腕の中に。
考えるだけでおかしくなりそうだ。
「はぁ」
一体、本日、いくつ目のため息か。
息をつく度に酒の空瓶が増える。
不健全に引きこもり、ベッドの上で猥らな空想をしながら現実逃避を続ける。
時折、時計を見ては、今頃、何をしている最中なのかと考えてもせん無きことを思い浮かべた。
まだ水瓶がこの世に復活しない内に想いを告げていれば良かった。
まだ水瓶がこん睡状態のうちに奪っておけばよかった。
想いが受け入れられなかったとしても、それでも。
(例え、無理を押し通してでも……)
ぐっとクシャクシャになったシーツをつかむ。
この腕ならば、押さえ込むことだって、出来たはず。
どんな手を使ってでもせめて二人の仲を裂いておけば、今、この時間にこうして鬱々と酒に逃避していなかったろうに。
「こんなことなら……優しくされたくなかった」
同じく復活を遂げたとき、死する直前の状態だった俺は怪我のため、生死の境をさまよっていた。
裏切り者の大罪人を看護しようという者はおらず、ずっと付き添ってくれていたのは蠍だった。
目覚めたとき、こんな俺の命を惜しみ、助かったことに安堵の微笑をくれたのも、完治後のリハビリに辛抱強く付き合ってくれたのも、情に厚い性格からだと承知してはいた。
相手が誰であれ、同じように接するのだろう、と。
だが、他人からの優しさを受けたことのない俺に淡い期待を抱かせるのには十分。
それが新たな苦しみの始まりだったのだ。
(優しさなど向けられなければ……放っておいてくれれば、こんな思い、知らずに済んだものを……!)
まだ水瓶が復活する前はよかった。
想いを告げられずとも、こうして友人としていられるだけでよいと言い聞かせて、小さな充足感を得ていられたのだ。
のに!
「くっそ……! アクエリアス!!」
拳をクッションに叩きつけ、足で空瓶を蹴落とす。
水瓶がこの世に戻されてから、俺にしたようにミロは水瓶に付きっ切りになった。
ただし、十二宮を自由に行き来できる権限を持たないキグナスが、近場の宿舎に寝泊りし、足繁く目を覚まさぬ師匠の下へ通ってくれたおかげでミロが付き添うのは夜だけだ。
日中は弟子の氷河に譲り、彼は身を引く。
空いた時間はもちろん睡眠にあてられるので、単に顔を見たいという理由にならない理由で俺が会いに行くのはさすがに遠慮せざるを得ない。
行けば恐らく、睡眠時間を削ってでも俺の相手をしたろうから。
そうしてあっけなく、俺とミロとの二人の時間は終わる。
この頃からだ。
恋をしているのだと自覚し始めたのは。
会えないと途端に襲ってくる孤独感。
狂おしいほどの焦燥感。
焼け付く想い。
顔を見たい、声を聞きたい、優しくされたい、愛されたい。
水瓶など放っておいて、俺をもっと構って欲しい。
幼少期に必要としていたが得られなかった愛情を、大人になった今頃になって許してくれる可能性のある相手にぶつけたがっているのかもしれない。
その上、大人の男として、相手を獲得し、支配したい欲もからんでいるから始末が悪い。
ほんの少しのきっかけでも、過ちを犯してしまいそう。
それほどに気持ちは追い詰められていた。
一切の余裕がない醜い本性を必死に隠し、頼もしい兄のように振舞い、余裕の男を演じる。
相手の心の隙を、伺いながら。
手元の瓶を拾い上げ、口をつけたがもはや一滴も残っていない。
「チクショウ!!」
床に叩きつけて割ると改めて周囲を見渡してみた。
大量に買い込んでいた酒は全て飲み干し、机の上に、ベッドの上に、床にと転がっている。
つまみの袋や使用済みのティッシュがゴミ箱からあふれ出して、混ざり混ざって妙な臭いを放っている。
この汚らしい光景がまた神経を刺激する。
「ああっ! イライラするッ!!」
(確か、宝瓶宮にミロが行くとか言っていたっけな……)
今から宝瓶宮に乗り込んでやろうか?
ヤッてる最中に突然、人が入ってきたら驚くじゃ済まないだろうな?
どっちがどっちなんだろうな、あの二人だと?
「俺も仲間に入れてくれー♪ ……くくっ、なーんてな」
トイレに行こうとのろのろと起き上がって、ベッドから降りると空瓶を踏んで派手にコケた。
「…………。……イテェ」
酔い過ぎて受身もままならず、びたんとしこたま尻を打ち付けてしまった。
「うお~……今の衝撃でゲロりたくなってきた」
何度かすっ転びつつ、トイレまでたどり着くと便器を抱えて胃の中のものを吐き戻す。
吐く物がなくなるとそのままトイレの床に座り込んで、ミロを想った。
(今頃……)
俺の知らない男に唇を許し、肌を許し……
俺が聞いたこともない、艶やかな声を上げる。
あのふわりと柔らかい髪を振り乱して、淡い紅に頬を染めて。
愛していると繰り返し叫びながら、相手の名を呼ぶ。
……俺ではない、男の。
「チクショ、持っているヤツは、なんでも持っているんだよな」
壁にすがって何とか立ち上がる。
台所までたどり着くと口内に広がる不快な胃酸の味を消し去ろうとしつこく水ですすいだ。
「命を捨てられるほど溺愛する弟子がいるなら、もういいだろうが。一人くらい、俺に寄越したって」
ついでに顔を洗うといくらかさっぱりした気がする。