ヤバイ、なかなか終わりません(爆)
今回は珍しく、若干、淫乱ミロさんで;
どちらかというと淫乱クンよりも相手に迫られてアタヽ(д`ヽ彡ノ´д)ノフタなりつつ、結局、流されてしまいました、どうちよう的なミロさんのが好みなんですが、たまにはいいかな、と。
そしてまたしても読み返してないままに載せるという暴挙をしでかしてしまったので、たぶん、まとまりがないおかしなことになっていると思われます;
そのうち、ちゃんと見直して清書したいと思いますorz
今回はなかなか更新できないので、間埋めみたいなんでもいいからとにかく載せてしまえっていう恐ろしいアレですので……ハイ((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
了解いただけた方のみ、続きをどうぞ;
次でそろそろ終わらせたい。(希望)
宮棚の照明に照らされた顔に光るものを見た。
(……涙……)
長い睫毛に細かい雫が光る。
見ている側から目尻からこめかみに向かって、一筋、涙が痕を残してゆく。
「痛いな」
胸が、痛い。
知らず呟いて、無意識のうちに身を屈める。
胸の痛みは、恋心を自覚させられたと同時に失恋した、あの瞬間に似ていると思った。
“ミロ、キスしたこと、あるか?”
11番目の宮を通りかかったとき、12歳のカミュがミロに尋ねたのを聞いた。
気がつかなかったふりをして通り抜けたけど、心がかき乱されて苦く苦しかったのを覚えている。
今も、俺のテリトリーにいるお前は、あの時と同じ相手を想い続けているのか。
痛いよ、胸が。
流れ落ちる雫を舌ですくい取り、そっと瞼と唇にキスを落した。
想像するより遥かに柔らかい感触。そして、少し冷たい。
未練を残しつつ、ゆっくり顔を離すと…………ミロと目が合ってしまった。
「おっ、起きてたのか」
「今、起きた」
酷く動揺した俺に対し、ミロは意外なほど落ち着いていて、起き抜けで口づけされたことがわかっていないのではないかとほんの少し期待したが、残念ながらそれはなかった。
「……したいの、リア?」
「えっ!? あっ!? ち、ちが……っ」
……穴があったら入りたいとはまさにこのこと。
弁解の余地なし。
「いやっ、そのっ、バ、バスローブが乱れていたからっ、直してやろうと思ったんだが……っ。そしたらあのっ……」
「そしたら、欲情しちゃった?」
ミロが笑って身を起こした。
しどろもどろになった俺はもう、頭の中が真っ白だ。
「よっ、欲……って、そんなつもりでは……っ」
だったら、どういうつもりなのかと追求されたら返す言葉がない。
けれどそんな意地の悪い展開にはならなかった。
「俺は構わないぞ。……遊ぼう、リア?」
それどころか耳を疑うような台詞が相手の口から飛び出して、思わず目を大きく見開いてしまう。
「な、に、を、言っているんだ……?」
意味が……
意味がわからない。
俺が、耳で聞いたままの意味にとっていいのか、判断に迷う。
それより何より、あのお堅いとばかり思っていた幼馴染の口から発せられたと思えなくて混乱する。
「俺もなんか、そんな気分。……酔っているからかな?」
伏せ目がちに構わず言葉を続ける目の前の男が、急に遠く、見知らぬ者に思えた。
まだ濡れている髪をかき上げて、耳にかける仕草に強い眩暈が誘発される。
「なぁ、遊ぼ? リア」
幼い頃、よく迎えに来ては同じように言ったそれが、今はまったく別の意味を成して本能に響く。
……魔法をかけられた、と思った。
「ミロッ!」
手招きされるがままにベッドに上がり、強く抱きしめて口付ける。
喪に服してまだ1ヶ月足らず。
恋人が死んだばかりの相手の隙に付け込んでいるみたいで気が引ける。
けれど俺は悪くない。
だって、誘われたのだから……
どこかで自身に言い訳をしながら、夢中で唇を食み、舌を絡めて貪った。
最初にそっと口付けたときは冷んやりとして感じられた相手の唇は熱く、蕩けてしまいそうだった。
勢いのままに押し倒そうとし、はたと突然、我に返る。
「……ナニ?」
急に固まってしまったからか、不審な目を向けてくる相手に俺は少し迷った。
どこまで、いいのだろう?
実を言うと俺はこのような経験は皆無である。
これまで奪われた幼馴染に微かな未練を残していたこともあり、また兄の汚名を雪ごうと遮二無二任務に邁進してきたためでもある。
他に気を取られている暇などなかった。
故に場の空気を読むなどという高度な芸当は出来かねる。
多少、恥があったが仕方なく、素直に訊いてみた。
するとミロは馬鹿にするでもなく緩慢に笑って「リアはどうしたい?」と逆に質問を返してきた。
「そっ、それは……もう……」
ここまでくれば、当然……
「好きにしてくれて構わない」
「だ、だが……お前に、は……その……」
動揺した。
好きにしてくれて構わない。
これを言われて揺さぶられない男がいようか。
それでも迷いを捨てきれない俺を見透かしたような言葉が投げかけられる。
「カミュに遠慮してんのか? もういないのに?」
「……いないって……そりゃ、いない……けど……。…………いいのか? 本当に? ひょっとして自暴自棄になっていないか?」
「自暴自棄? 俺はそれほど弱くない」
「そもそもお前、宝瓶宮で何をしていた? 後追いなんて……考えていたのではあるまいな?!」
これは石の床に横たわっているミロを見たときに思ったことだ。
既に命を断ったのではないかと一瞬、よぎりもした。
しかしミロは首を横に振って否定する。
「あのとき……死ぬ間際、いや、死を予感していただろうアイツが何を考え何を感じていたか……少しでも辿れるかなって転がってみただけだ。……ふ、そんなワケないのにな。馬鹿な真似をした」
自嘲するのが悲しく俺の目に映った。
「そんなに自分に厳しくなくともよいではないか。何故、それほどまでに……」
「そんなつもりじゃない。けど、俺はずっと宝瓶宮にいたわけじゃないぞ」
言い訳めいているかもしれないが、と付け加えてミロは続けた。
「ではこれまでどこに? 何度もお前の宮に足を運んだが、いつも留守だった」
「……それは悪いことをしたな。ほとんどは、双魚宮の花園に行っていたんだ」
「アフロディーテの?」
意外だった。
てっきり、ずっと宝瓶宮で亡き恋人を偲んでいたと思っていたのだが。
「あのまま枯らしてしまうのは少々、もったいない気がしてな」
まだ1ヶ月だというのに遠い昔を懐かしむような目をあらぬ方向に向ける。
「俺ではとてもアフロみたいに上手に世話できないだろうが、水をやるくらいのことは、な。だって可哀想だろ? 花は自分で水を飲みに行くこともできないんだしな。ははっ」
確かに花に罪はない。
あの花園のことなんて、俺はまったく意識に上らなかった。
「……お前は本当に、他人のことばかり気の回るヤツだ」
「そうでもない。ただの未練さ。あの花園は、よく幼い頃は遊ばせてもらっていた場所だし、成長した後も花をもらったり、ハーブティーをご馳走になって談笑したりと思い出も多い。だから……次のピスケスが来るまではいいかなって、自分を甘やかせていただけだ。お前たちが心配してくれるほど、俺は自分に厳しくもないし、我慢強くもない」
けど、自棄になって命を断つほど弱くもない……
言いながら、傷ついた獣は俺にしなだれかかる。
「こうして、今も甘やかしてもらっているしな」
「……甘えていたのか、これは」
返事の代わりにミロは俺の着ている物のボタンを勝手に外し始める。
「変な気遣いは無用だ。俺はちゃんと俺を判っている。少なくとも今、どんな状態でいるくらいは」
「それは……つまり……俺とこうしていることも?」
「……もちろん」
自分で自分を判っているなんて、そんなの嘘だ。
自分だからこそ判らないんだ。
特に悲しみの嵐に巻き込まれたそんなときは。
だけど彼の主張を否定するつもりはなかった。
本人は、本当にそう思っているのだから。
ちゃんとしている、と。
それならそれでいい。
俺で役に立てているのなら。
俺でもいいのなら。
例え、カミュの代わりなのだとしても、今はいい。
……今は。
「リアがホントに嫌ならやめるけど? でもやめないだろ? 下も固いようだし」
イタズラな猫の眼をして楽しげに笑う。
裸身になった俺のものを咥え込んだ幼馴染の姿を見つめて、不思議な気持ちになる。
身体が柔らかいのは子供の頃の記憶と違わず今も健在で、女性がよくやるようなぺたんとした座り方で身を屈めている。
(……くっ。ありえない……ありえない絵だ……!)
子供の頃、走り回って遊んだ相手が、こんな……
経験のない俺には触覚的にはもちろん、視覚的にも刺激が強過ぎて、たちまち達しそうになる。
「すまん」
「……?」
俺の声に咥えたまま、上目遣いで反応してくる幼馴染。
「ヤバい、俺……」
意図が通じたようで、一度、俺を解放するとミロは口から引いた透明な糸を手の甲で拭った。
「まだ早いよ、もうちょい……」
上目遣いや口元を拭う仕草にも翻弄されて結局、再び口に含もうと姿勢を低くしたミロの顔にぶちまけてしまった。
「ご、ごめっ……!」
「…………ううん、いい」
一瞬、ぽかんとした後に目を瞬き、それから顔に飛んだ液を手で拭き取ると静止する間もなく、舐めてしまった。
「ちょっ!? 何しているんだ、ミロ!? そ、そそそ……そんなことしなくてもっ!!」
「……そんなにいちいちあわててくれるな。別に無理してるわけじゃない。リアのだからいい」
こともなげに言われて、今度は俺が驚かされる番だった。
さりげなく、俺のだから良いとトドメの発言まで含まれていて、クラクラした。
遠い昔のことと長い間、錆付かせていた拙い恋心が色彩を取り戻す。
……好きだ。
愛したい。
誰かの恋人になってから年々、魅力的になってゆくキミに惹かれ、これまでいくらでもあったチャンスを見逃してきたことを後悔し続けてきた。
諦めの果てに眠らせた心が目覚める。
カミュとの情事がどうだったかなんて知らないし、知りたくもない。
ただ、恐らくミロが受け入れる方だったのだろうなというのは察しがつく。
性格的にも他人を受け入れるタイプであるミロと他人を寄せ付けないカミュである。
どちらも男であれば、相手の主張を甘んじて受けるのはこのミロの方ではあるまいかと推察できる。
それから、俺を一度果てさせた後に再び煽って今は膝上にあり、いわゆる騎乗位で身を揺する姿に、慣れていると感じた。
コトを進めるに当たり、ミロは色事に縁のない俺の部屋に潤滑液がないと知ると救急箱にあった軟膏で代用して、受け入れの準備を整えた。
それもこれも、カミュとの年月で身についたのだと考えれば、嫉妬も沸き起ころうというもの。
スマートで繊細なカミュとは違う。
手馴れたカミュとは程遠い。
そんな俺だが……
「……翻弄されてばかりじゃ、獅子の名が廃るな」
「え? あっ、わわっ!?」
上に乗っていた相手の腰を抱いたまま転がして、身体の上下を入れ替えた。
意表を突かれた表情をしている相手の足を担ぎ上げて、貫く。
「あっ!? リッ、アッ!」
短い叫びに耳を貸さず、身体の奥を探り、時に首や肩に咬み跡を残した。
どうしたらいいかなんてわからない。
ただ、塗り替えてしまいたかった。
代わりでも良いなんて思ったことは訂正する。
誰かの代わりなどに大人しく収まっていたくない。
もういない人間に、遠慮する必要はないとミロが言ったのだ。
だから、そうする。
(カミュ……! お前はしっかり想像できていたのか? お前が身勝手に捨てた命を惜しんでいるヤツがいることを)
「はっ、あっ、あっ! リア、なんか……スッゲェ……」
(拾えもしないのに、お前の命を、思考を、辿ろうと無人の宮でお前の逝った場所に身体を重ねていたアイツの気持ちがわかるか?!)
乱暴に組み敷かれているミロは、乾き始めた金の髪を散らし、身をよじって虚ろに悦楽に狂った笑みを柔らかく浮かべている。
(お前はあの戦いにおいて……弟子のことしか念頭になかったのではないか?)
長い睫毛に縁取られた青い眼が潤んで、小さな湖を作り出している。
今にも雫となって溢れ落ちそうだ。
(それとも、ミロがいるから氷河のことは大丈夫だと思ったか?)
これが好きでもない男に身を預けて自らを傷つける行為に対する、悲しみの涙でないことを願う。
(ミロなら、何があっても泰然としているとでも思っていたのではあるまいな? もしそうならば、お前は大変な愚か者だぞ。お前がそんなだから、アイツが泣いていいときにも泣けなくなる! 泣き方を忘れてしまうんだ)
そんなことを考えていたら、ふいに後頭部の髪をつかまれて、引き寄せられた。
「さっきから、何考えてんだよ? 俺に集中しろよ、バカリア」
「……すごいコト、言うな」
「だって、遊ぼうってゆったじゃんか。……もっと、してくれよ、おかしく、させて」
息も絶え絶えにさらなる快楽を求めて、俺の背中に自慢の爪を立てるミロはもはや、高潔なる戦士ではなく、美しくも妖しい淫獣だった。
一部の隙もないあの蠍座の黄金聖闘士と同一人物であることが信じられないくらいに乱れ咲き、やがて俺を引き込み、理性を微塵も残さず吹っ飛ばす。
■□■
夜に咲いた妖花は、陽が昇ればその存在すら危ぶまれるほどに別の顔に変化する。
「うああっ!? 髪がっ!! 大爆発ッ!!」
この世の終わりかという大音響の悲鳴に俺は叩き起こされた。
壁の掛け時計に目をやれば、午前10時過ぎ。
……しまった。
毎朝、欠かしたことのない訓練に行きそびれた。
こんなに寝坊したのは、大怪我したときかインフルエンザのときくらいしか記憶にないぞ。
「櫛が通らんっ! イタイ、イタイッ!!」
洗面所の鏡の前から聞こえているであろう、ヒステリー声の主のところまであくびをかみ殺しながら行ってみると案の定。
形容しがたい芸術的ヘアーになったミロが、自身の髪と格闘していた。
「もう梳かすよりもう一度、髪を洗ったほうが早いぞそのボンバーヘッド……」
「どーして濡れたまま寝ると爆発するぞって注意してくれなかったんだよ」
しかも俺に八つ当たりキタ。
「言っただろ、何回も」
「しかもなんか体中痛い!! だるい!!」
夕べはしてしてって強請ってたクセに、正気に戻れば俺のせいなのか……
肩をすくめて俺は自分の歯ブラシと歯磨き粉を手に取った。
「さらに言うなら、頭痛いっ!! 死ぬ! 頭割れて死ぬ!! たぶん工事始まってる!! 小さいおじさんたちが頭の中で道路工事してる!! 薬ッ! リア、薬!! 光の速さで取ってきてくれっ! あっ、半分は優しさでできてるヤツじゃないと俺は飲まんからな!」
「わかった、わかった。頭痛いなら大声出すな」
……なんで使いっ走りみたいなことになってんだろーなぁ、俺?
昨日のアレは本気で酔ったイキオイだったんじゃなかろうか?!
今日は色気の「い」の字もない幼馴染に、半分優しさで出来ていると頑なに信じている(俺がじゃないぞ、ミロがだぞ)日本製頭痛薬を渡してやった。
「そうだ、シャワーだ」
「だからそう言ってるだろうが」
手の施しようもなくなった髪は、これでどうやら解決だ。
朝食を簡単に作ってやったが、ミロは顔を青白くしてこれを丁重に辞退した。
それ見たことか。あんな飲み方するから、完全に二日酔いではないか。
貸した俺の服を着たミロは鏡の前でドライヤーをかけている。
俺はその間、ぼんやりと興味のないニュース番組を目に移していた。
「なぁ」
「……なーんか呼んだか?」
ドライヤーの音がうるさいのか、やや遅れて呼びかけに応じた声が返ってきた。
「俺ら、付き合わないか?」
「……は?」