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星の墓場

星矢再熱。腐です。逃げて! もはや脳内病気の残念賞。お友達募集中(∀`*ゞ)エヘヘ

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トリトマ2……ほぼ下書きレベル(爆)

スミマセン、見直し一回もしていないままなので、下書きみたいなモンと思って下さい(爆)
それでもOKな方のみ、GO☆……で;((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル
しかもまた途中でぶっつりで次に続いてしまいます;
なんか無駄に長い(爆)




 強引に手首をつかんで獅子宮まで引きずっていく。

「変に心配かけさせてしまったな」

 諦めて連行されるままになっているミロが申し訳なさそうにゆるく笑った。

「お前にあれだけ偉そうに言っておいて」
「何を。お前はこうも言った。十二宮にいる間は存分に嘆けと。ここは外ではない。俺たちの領域だ。故人を悼んで涙するのに何を恥じることがある?」

 獅子宮の自室に放り込み、ようやく手首を開放してやる。

「……まったく……お前には敵わないな、昔から」

 ドアを閉じるため、背を向けていた俺の肩にこつんとミロの額が当てられた。

「昔からって、何だよソレ……」

 敵わないなんて、お前が俺に思うことなんか、一度でもあったか?
 俺は、そんなの、知らない。
 いつもお前は勝ち気だった。
 弱気になったところなんて、見たことがなかった。
 少なくとも俺の前では。
 ほんの小さな頃はよく癇癪起こして泣く子だったが、それでも俺や同い年の子が来ると泣いていないと見え透いた意地を張った。
 そのお前が、俺に? 何を敵わないなどと……

「振り向くなッ!」

 僅かに垣間見えた本音をもっと深く追求したい欲に駆られ、思わず振り返ろうとした俺に鋭い声が飛ぶのと同時、背中越しに温度を感じた。

(……え……)

 相手の両腕がきつく身体に巻きついてきて、思わず息をつめる。
 背中が熱い。
 肩が熱い。
 腕が回された胸が熱い。
 アイツが触れている全ての部分が熱を持ち、灼熱感が身体を焦がす。
 しばらくの間、無言で立ち尽くしていたが、恐る恐る、肩に乗せられた頭に手を添えてやると震えているのがわかった。

「泣いて……いるの、か?」

 逆なでを覚悟で問えば、意外にも微かながら頷く動作が肩から感じられた。

「よく……わからない……ケド。ずっと、泣けなかったんだ。涙、が……出なかった」

 鼻にかかった湿った声でミロは言う。
 俺の胸元の服を握り締めて。

「……死んだのに……みんな……サガだけじゃない。デスもシュラもアフロディーテも……みんな、家族みたいな……いや、兄同然に思ってた。……なのに……俺は……涙の一粒も……。でも、ようやく……」

 「ようやく」の後をミロは接ぐことが出来なかった。

 食いしばっているであろう、歯の間から嗚咽が漏れ聞こえた。

(そうか。これまで……泣く許可を自分に出せずにいたのだな……)

 “強くなければならない”
 自らに課した制約が、いつの間にか悲しむことすら許さない厳格な鎖となって彼を苛んでいたのだろう。

「だけどすまない、こんなの……お前に言うことじゃなかった……お前にとっては仇なのに」

  苦し気に言葉を吐き出すと、力なく俺の身体から腕が離れ、ミロは床に崩れてしまった。

「バカか、お前は! そんなことを気にしていたのか!?」

 驚いた。どこまで愚か者なのだ、コイツは。
 ようやく金縛りが解けた俺は、相手に合わせてしゃがむと正面から抱きしめてやった。
 コイツは昔からそうだ。周囲に気を使うがあまり、己のことが二の次三の次と後手後手に回ってしまう。
 厳しいようでいて、結局、他人に甘い。
 甘やかすことは知っていても甘えることを知らない、不器用な男だ。

「いいか、ミロ!」

 うつむいた顔を両手で挟んで持ち上げ、逃げられないように額をぶつけ、間近で視線を合わせる。

「泣けなかったのは、お前が悪いわけではない! 俺の仇だとか、ヤツラが謀反人だとか、そんなことはどうでもいい! 今! 重要なのは、お前が何をどう感じているかだ! 嬉しいのか、悲しいのか! どっちだ!?」

 沈黙の後、ミロは「悲しい」と消え入るような声を落した。

「……そうか」
「……うん」

 子供の頃のように、ミロは頷いた。

「サガたちの死を悼むのに、何の遠慮もいらん。誰の許可もいらん。少なくともここには俺とお前の二人きりだ。嘆きが他に漏れることもない」
「……うん」
「たまには、俺を頼ってくれてもいいだろう?」
「……リア。俺……、……悲しい。寂しい………………苦しい」
「……ああ。そうだな」

 限界まで目の縁に溜まっていた涙が大粒の雫となって、滑らかな肌の上を次から次へと零れてゆく。
 本音を吐露してしまったこと、そして泣き顔を恥じたのか、俺の手を顔から引き剥がし、ミロはその場に背中を丸めてうずくまってしまった。
 しばらくその背をさすっていた俺は、そろそろ泣き止む気配を察し立ち上がってミロから離れた。
 あまり側にいられると顔を上げるタイミングを計りづらかろうと思ったのだ。

「今、熱いコーヒーでも淹れてやろう。落ち着いたら来い」
「…………紅茶を所望する……」
「べそかいてるクセして、注文だけはちゃっかりしてくるな」
「うっさい、お前が泣かせたんだ、いじわるアイオリアめ! お前がここに連れてこなかったら、俺はこんなみっともない姿を晒さずに済んだっ!! 馬鹿め! バカバカ、バカオリアッ!!」
「……おのれ、人が下手に出てやれば……」

 まったく可愛くない!
 昔から知っていたが、本当に可愛くないな!
 亀の子みたいに丸まっている背中を蹴り飛ばしてやろうかと息をまいていたら、

「余計な世話だ。…………でも……まぁ……あれだ……ぁ………り……と……」




 ありがとう。




 それは小さく、頼りなく。しかしはっきりと耳に届いた。
 勝ち気で見栄っ張りでカッコつけで、厳しい物言いをする割りに甘ちゃん。
 そして礼儀を欠かすことがない、杓子定規。

「フッ。どー、いたしまして」

 とにかく素直じゃない彼だがこうやってしおらしく、稀に、ほんっっとうに稀だが可愛いところもあったりする、憎めない生き物だ。

(……さっき、俺のこと、リアって呼んだな、アイツ……)

 今は呼ぶ者もいない幼い頃の愛称。懐かしい響きに目を細める。



■□■



 その日、ミロは俺が作ってやった晩飯を不味いの、もっと上手く作れないのかだの、盛り付けが食欲を盛り下げるだのと散々文句をつけながら、全て平らげた。
 後は当然のように酒を持ち出して、昔話に花を咲かせる。

「嘘だ、あのときオネショしたのお前だろが」
「違う。俺ではないぞ。都合よく記憶改ざんするな」
「嘘だ、嘘、嘘!」
「ていうか、シオン様のボンサイ全滅させたのって結局、誰だったんだ?」
「それは本当に知らないぞ」
「いや、俺も知らなかった。……お仕置き穴に入れられたけど、本当に俺じゃない」

 内容はほとんど子供の頃のイタズラや失敗話である。
 辛かった時代の話は互いに意識的に避けていた気がする。
 そうでなくとも気が滅入っているのにこれ以上、塞ぎ込む話をしても仕方がない。
 大事なことを避け、上辺だけテンションをあげたところでどれだけ気晴らしの効果は得られるものだろうか。
 すでに無茶な呑み方をしている友人の手からワインの瓶を取り上げたときには既にほとんど空。

「はりゃ? なくなっちった……リア~」
「そんなに大量に置いてるケなかろうが! どんだけヒトんちの酒を飲み干せば気が済むんだ、まったく」

 そういう俺もかなりハイペースだ。
 酒だっていつもよりも多めに置いてあった。
 酒に逃げるつもりではなかったが、やはりあんなことのあった後だ。
 多少は欲しくもなる。
 それが……一晩ですっからかんにしてしまうとは。

「じゃー、俺んトコから取ってこよ~♪」

 ひょいとソファーから立ち上がったミロが、急に両手で口を押さえた。
 赤かった顔が見る見るうちに真っ青に……。
 こ、これは……まさか……!?

「吐くな!! ここで吐いたら、ライトニングプラズマじゃ済まさんぞっ」
「……出……出る……かつて食物や飲料だった物体が……出そう……ウ…………」

 …………わぁ。
 この馬鹿……やったよ。ヒトんちで。
 やると思ったから途中で何度も止めたのにコレだよ。
 だから言わんこっちゃなーい!!

「うおぅ、すまん、片付け……ウプッ」
「いいから、トイレいけ、トイレ!! ついでにシャワー浴びて来い!! 服は俺の用意しといてやっから!!」
「う、うん……うぐ……かつて食物や飲料だったものが……」
「説明はいらんっ!! 早よ行けわっ!!!」

 風呂場に追い立て、俺は仕方なく友人が胃からリターンしたスッパイヤツを濡れ布巾で拭き取っていく。
 そのほとんどはテーブルの上にしでかしてくれて幸運だったと思うことにしよう。
 ソファーにも跳ねたが、表面がレザー張りで心底良かった。
下に敷いてあるラグは……洗って落ちるかな。落ちなかったら諦めて棄てるしか。
 片づけをしている間、呻き声が聞こえていたが、やがてシャワーがタイルを叩く音が聞こえ始めたので、バスタオルと着替え用にバスローブを持っていってやった。
 つまみに出した残りのスナック菓子や空き瓶も一通り片して、一息つく頃にサッパリしましたと顔に書いてあるミロが戻ってきた。

「いや~、悪い悪い」
「ったく。俺も浴びてくるか。誰かさんのゲロを片づけてなんか気持ちが悪いしな」
「気持ち悪いとかゆーな。かつては……」
「いい! 過去にどんな物体だったかの説明なんぞいらんっ!」

 俺が風呂場に向かおうとすると、後ろからとんでもない提案が投げかけられた。

「出たら飲みなおそーぜ♪ 俺、リアが風呂ってる間に自分とっから取ってくる~vV」
「い・ら・んっ!!」

 ぐるりと勢いに任せて振り向いて、持っていこうとしていたタオルを丸めて投げつける。

「何すんだよぅ」
「うるさい、黙れ、ヨッパライ!! 宮に戻ろうとしてゲロったヤツがどの口で言う!? 大人しく寝てろ!!」
「え~……もう平気らって」
「平気じゃない!」

 さらに洗面所からドライヤーを取ってそちらに放り投げる。

「……面倒くさいな、乾かすの」
「ちゃんとしとかないと爆発するんだろ、その頭は」

 何かまだ不満を言っているようだったが、無視して扉を閉めた。

「ったく……」

 よしよし。ドライヤーの音が聞こえるぞ。
 どうやら酒を取りに行くのは諦めたようだな。
 安心してゆっくりと湯を張ったバスタブに浸かる。
 …………。
 ………………。
 ……………………。

「……んん?」

 なんか……髪乾かすのってこんなにかかるものなのか?
 やけに長い気がするが……
 男のクセしてアイツの髪も相当の長さがあるから仕方がないのだろうか。
 ドライヤーは一応、置いてあれどほとんどタオルで乱暴に拭いて終わりの俺にはよくわからない。
 短髪だから放っておいてもすぐに乾く。
 しかし、さっきがさっきだ。
 いくら風呂時間が短い俺とはいえ、もう髪も身体も洗い終わってバスタブに浸かっているのだぞ?
 いくらなんでもそんなにかかるか?!
 もしやドライヤーをオンにしたまま、自宮に戻ったのではあるまいな。
 もちろん、酒を取りに。
 途中でダウンしてシャカに迷惑かけることになるのが目に浮かぶ。

「オイオイ~。冗談だろ」

 あたかも想像が現実になったように俺はあわててバスルームから飛び出した。
 すると……

「……ハァ。ヨッパライの末路……」

 友人はちゃんと?そこにいた。
 どうやら髪を乾かしている間に眠ってしまったらしい。
 ドライヤーを明後日の方に向けて、当人は床に転がってしまっている。
 髪に向けてなかったからいいようなものの、危ないだろうと文句を言いながら、ドライヤーを取り上げて頭を足先でつつく。

「ミロ、寝るならベッドに行け」
「う~……ここでいい」
「あ~あ~。乾いていない髪を濡れたまま放置して、明日になって喚いても知らんぞ? ホラ、起きろって」

 仕方なく、胴に腕を通して引きずり、寝室まで連れていく。

「頼むよ、自分で歩いてくれ。俺はお前のせいでまだパンツも穿けてないんだぞ!?」
「……ぱんつぅ~? ぱんつがなんだ! おれらってそんなのない!!」

 …………ダメだ。まだやっぱり酔ってるぞ、コイツ。
 自力で歩く気はまるでないらしく、引きずられながら元気に片腕を振り回している。

「お前はバスローブ着てるだろっ!! 服は丸ごとゲロまみれだし! 俺はお前が酒を取りに行ったんじゃないかと思ってあせって出てきたから、腰にタオル巻いてるだけなんだよっ!!」

 って、言ってる間にタオル落ちたしッ!! くそっ!
 もういい! このヨッパライをベッドに放り投げたら、俺もパジャマを着てこよう!

「あははっ♪ リア、タオル落ちた~☆ タイホだタイホ! おっまわりさーんっ、このヒト、ぱんつさん穿いてないです~」
「誰のせいだ、誰のッ!! ていうかコラ、暴れるなっ」

 すったもんだしながら、苦労して何とかベッドに引きずりあげる。
 髪はまだ濡れていたが、枕にタオルを巻いてやったからこれでいいだろう。
 俺だってもう、面倒くさい。ベッドに転がりたい。
 予定ではベッドは客人に貸して自分はソファーのつもりだったが、ミロいわく、かつて食物だったモノをリターンしでかした、あそこで寝る気になれない。

「よし、じゃあ俺はおまわりさんに逮捕されないようにぱんつさん穿いてくるから、ミロさんは大人し~く寝ててクダサイ」

 ……頼むから。

「ハーイ」
「よろしい」

 ヨッパライの元気で明るい返事は、信じてはいけない。
 落ちたタオルを拾って再び腰に巻き、寝室から一度出ようとした俺にくっついてノコノコとオトモダチがついてきた。

「ミ~ロ~」

 目を細めてゆっくり振り返る。

「ハイ」

 睨みをきかせても、ニコニコニャン!としているヨッパライにはまったく通じず。

「ついてきたら意味ないから」
「なんでだよー? どこいくんだよー?」
「着替えてくんのっ!」
「なんでー?」
「なんでじゃないだろ。お前のせいで湯冷めしてんだよ、こっちは」
「俺もさみー」
「……そりゃそうだろうよ、床で寝てりゃ。だから布団入ってろって言ってるだろが、ついてくんな」
「リアも入ればいい」
「だーかーらー」

 会話が堂々巡り。
 どうしたらわかってくれるのだ、このヨッパライは。

「だってどこ行くかわかんないじゃんかぁ」
「服着てくるって言ってんだろっ」
「帰ってくるかわかんないから、嫌だ!!」

 …………どうしたことだ。
 脱衣所に用意した下着とパジャマを着てくるだけなのに、どこか遠い所へ旅に行ってしまうようなこの場面は!?
 時間にしたら、1分かからず戻れるのだが?

「いいか、ミロ。ここは俺の獅子宮だ。そして今は夜中だ。さらに俺は湯冷め甚だしい、可哀想な濡れ鼠だ」
「らいよんじゃないのか……」
「らいよんでもなんでもいい。とにかく憐れなタオル一丁の姿だ。そんな俺がどうしてどこかに行ってしまうと思えるのだ?! ここ聖域にはコンビニの一つもないのだぞ!?」

 両肩をつかみ、正気に戻れと揺さぶる。

「で、ではちゃんとこのミロの元に戻ってくると約束できるな?」
「……するする。するから」
「今から10数えるから、それまでに……」
「わーかった! 10の間に戻ろう! だからお前もベッドに戻れ」
「うむ」

 ……ふぅ。
 ようやく交換条件成立。
 どうせあの調子では10数えるまでもなかろう。
 数えは気にせず、のんびり着替えて戻ってくると案の定、微かな寝息が聞こえていた。

「ま、寂しかったんだな。それはわかる。わかるからいいとして……」

 ……ナナメに寝ないで欲しい。
 俺はこのベッドのどこに寝ればいいのだ。
 しかもバスローブが乱れて足やら胸やらが派手に露出。
 袖が通っている両腕と申し訳程度に陰部が隠れているだけという、あられもない姿になってしまっていた。

「これが女だったら、大問題だぞ、ミロよ」

 男にしたってこれはさすがに目のやり場に困る。
 とりあえず衣服の乱れを直してやろうと片膝をベッドに乗せて手を伸ばしかけ、動きを止める。

「……ミロ?」






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