めだかのきょうだいは かわのなか。
おおきくなったら なんになる?
おおきくなったら コイになる。
おおきくなったら クジラに。
だけどおおきくなっても めだかはめだか。
「俺もカニになった! カニになった!!」
何故だか俺を気に入っていつもまとわりついてくるチビッ子が、巨蟹宮にすっ飛んできた。
齢、6歳。
恐ろしいことに今回の黄金は、わずか6~7歳でその地位を獲得する者が半数もいる。
コワ。
コッワー。
かくいう俺も黄金になったのは、そのくらいのときだったのだが。
才能、としか言いようがない。
所詮はお子様で、いくら武術を仕込まれていても、怪力であるわけがない。
要は小宇宙だ。
強大過ぎる小宇宙を生まれながらに宿している。
そんなのがこの時代には、ウジャウジャいた。
かくいう俺もまだ10歳。
同年代に山羊座の黄金聖闘士のシュラがいて、一つ下に魚座のアフロディーテがいる。
黄金聖闘士になるようなヤツには、子供の頃からその片鱗が見え隠れしているそうだが、俺たちの世代は片鱗どころではない。
最初からモンスターだった。
で。
そのチビッコモンスターの一匹が、この金髪クリクリ小僧。
「カーニ! カーニ♪」
「いや、それ、蟹じゃねーし」
自分が収納されてしまうような、体に見合わない大きな聖衣ボックスを引きずってきて、カニカニとはしゃぐミロが取得したのは、スコーピオン。
「でもハサミついてるぞ?」
「そりゃオメー、蟹じゃなくて、蠍だろが」
「サソリはカニ?」
「いや、蠍は蠍」
「カニの仲間?」
「クモの仲間」
親切に教えてやったら、急に黙り込んでしまった。
「……なんだよ」
じっと俺を見上げていたかと思うとミロミロ内に……じゃなかった、みるみる内にくしゃりと顔が歪んできた。
うっわ、爆発寸前……!
くるぞ、くるぞ~。