忍者ブログ

星の墓場

星矢再熱。腐です。逃げて! もはや脳内病気の残念賞。お友達募集中(∀`*ゞ)エヘヘ

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

氷ミロ:1(タイトル未定)

ようやくスタートしました、氷河ミロ。
  去年の秋頃から書いたり消したりしてそのうち飽きて放置していたものにまた手を付け始めました(-_-;)
久しぶり過ぎて初めから書き直すことになってみました;
ちゃんと決まってるラストまで辿り着くといいけど……
黄金魂は綺麗サッパリ無視して、聖戦後、冥界編で命を散らした連中だけ蘇り設定です。
氷河が天蠍宮に転がり込んで、居候してます(;^ω^)





―何故、殺した?
―お前を慈しみ、育ててくれた、兄のような男を。

「仕方がなかった! 真のアテナを救うためには、それしか方法がなかった!!」

 黒い影だけの三柱の女神が俺を囲んで揺らめく。

―何故、殺した?
―お前の身代わりとなって一生消えぬ傷を負った兄弟のような少年を。

「それも仕方がなかった! アイツは地上を水没させようとする海皇の意思に従っていた! 地上を救うにはそれしか……」

 舞うように回って口々に暴き、責め立てる。
 俺の罪を。

―何故、殺した?
―二人とも、お前を、お前を愛していたのに!

「そんなことは、知っている!! 俺だって愛している!」

―ならば、何故?

「仕方がなかった!!」

―肉親殺しは大罪だ。
―だが、赤の他人でありながら、お前のために尽くした者たちを殺した罪はもっと重いぞ、キグナスよ。
―仕方なかったで済むと思うな。

「ならばどうすれば良かったというのだ!?」

―お前は、本当は殺戮が好きなのだ。

 殺戮の復讐者・ティシポネーが言う。

「違うッ!!」

 決して、決して戦いや人殺しなど望んではいない!
 できれば聖衣など纏うことなく、一生、平和に田舎で暮らしたかった。
 そう、師と兄弟子と共に。
 ささやかでも幸せな日々が続いてくれさえすれば、それで良かったのだ。
 彼らの笑顔がそこにあれば、それで。

―お前は本当は、兄弟子に嫉妬していたのだ。

 嫉妬する者・メガイラが言う。

「それは……昔はそんなこともたまにはあったかもしれない! しかしそのために殺したわけでは……ッ」

 彼はいつだって完璧だった。
 不純な動機で聖闘士を目指す俺とは違い、純粋に世界の人々のためだった。
 強さも頭の良さも冷静さも人間的にも、全てが彼の方が優れていた。
 聖闘士になるのが目的ではないとはいえ、俺も男だ。
 多少の対抗心くらいはある。
 ときに嫉妬したとして、何が悪い?
 嫉妬もしたが、それ以上に兄弟子を尊敬していた。
 血のつながり以上に強い絆を感じていた。
 それでも罪に問われるのか!?

―罪人よ。次は誰を殺す? 誰の命を奪う? お前の両手は血で汚れているぞ。どんなに洗っても落ちはしない。

「う、うう……」

 両手を持ち上げてみれば、どす黒い血にまみれていた。
 眼前に広がる果てしない闇の中には、遺体で山が築かれている。
 そのどれもが知った顔だ。

―殺戮は楽しいか?

「うるさい……!」

―大事な者を永遠に他人にくれてやらずに済むからか?

「黙れッ!!」

―母親の遺体に執着する狂人よ、お前は永遠に……

「うわああああ!!!!」

―何故、殺した?
―何故、殺した?
―何故、殺した?
―何故、殺した?
―何故、殺した?

 止まぬ者・アレクトが繰り返す。
 繰り返す。





 自分の悲鳴で目覚めた俺は、まるで水でも被ったように全身に汗をかいていた。
 手のひらに爪の跡が残るほど握り締めた拳と疲れるほど歯を噛み締めた顎が辛い。
 荒い息が静まるのを待って、のろのろとベッドから降りる。
 水を求めてキッチンに行き、冷蔵庫の中を探る。

「ふぅ」

 冷水を一気に胃に流し込み、ようやく息をつけた俺は、借りている部屋の隣のドアをそっと開いた。
 暗闇に慣れた目をこらして、家主が眠っている側まで歩み寄る。
 規則正しい寝息を確認して、隣に潜り込んだ。

「……オイ」
「あ。起きてた」
「ゴソゴソ入ってくれば、誰でも起きる。ていうか、さっきからギャーワーうるさいし」

 背中を向けたまま、天蠍宮の主が不機嫌な声を出す。

「だったら起こしてくれればいいじゃないですか。うなされているのに放っておくなんて酷いですよ」
「毎晩だぞ? まったくもぅ。つーか、一緒に寝るなら、風邪引く前にシャワー浴びて新しいのに着替えて来い。なんだかキミ、湿っぽいぞ?」

 言われてみればそうだった。
 パジャマはおろか下着まで汗でびっしょり。
 髪もうなじ辺りは濡れたままだ。

「はぁい」

 素直に従って浴室に向かう。
 さっと流して戻ってくると既にミロは夢の中に戻ってしまっていた。
 ただ、俺が入れるスペースをちゃんと確保して端に寄ってくれている。
 この人は、俺のことを甘ったれだの、マザコンだの散々言うけれど、結局、何やかんやと寛容である。
 聖戦が終わり平和が戻ると、俺はミロの世話になっていた。
 アクエリアスの聖衣を目指すために日々、稽古をつけてもらっているのだ。
 聖域に滞在するために宿舎を借りていたが、毎日俺が修行のためと通うので、それならば天蠍宮でしばらく生活すればいいとのご厚意に甘えて今に至る。
 俺がベッドを占拠してしまっている上に、しょっちゅうこうして魘されるから、最初は1つのベッドで寝ていたが、うるさくて敵わないとミロがリビングのソファに移った。
申し訳ないことこの上ない。
 安眠妨害もいいところだ。
 さすがにばつが悪く、泊めてもらうのを遠慮しようと言い出すとミロは首を横に振った。
 なんと、俺は眠っている間に技を放つこともあるらしく、宿舎に返しては、死人が出るかもしれないからダメだと釘を刺されてしまった。
 そのうち、俺の滞在期間がズルズルと長くなって1年、2年と過ぎていく内に、外出して戻るときの言葉がすっかり「お邪魔します」から「ただいま」に変わる。
 当初リビングで寝ていたミロは、新たにベッドを一つ購入し、物置と化していた部屋を掃除してそれを運び込み、俺の部屋として譲ると自身は元の寝室へと戻った。
 こんな経緯で居候生活4年目に入る。

拍手[1回]

PR